漫画三昧

史記
5月末、夫の母が具合が悪くなり入院した。約1か月半後、治療は完了したのだが、自宅での生活は困難な状態となり、それから約半月、退院後の受け入れ先探しに奔走した。
思えばこの2か月間、義母を見舞うための病院通いと施設探しで、へとへとになっていた。8月上旬、義母は施設に入所でき、忙しさは一段落したのだが、私自身は、その後、疲れが出たのか、体調不良と何もしたくない状態がしばらく続いた。

そんな中、夫が知り合いから、大量の漫画を借りてきた。
人それぞれ、疲労回復やストレス解消のやり方があると思うのだが、私の場合は、ひたすら家にこもって一日中だらだらと本に夢中になっているというのがあっているらしい。
しかも、借りてきた本が歴史物だったということがよかった。
(推理小説だと、動機、トリック、結末に納得がいかないと、読後、腹を立ててしまうのだ。)
しばし、漫画三昧の時間を過ごし、癒された。



『史記』 横山光輝  小学館文庫  

『史記』は高校の漢文の授業で、尭・舜・禹の話や、項羽と劉邦の争いに関する「鴻門の会」、「四面楚歌」、「烏江亭」などをやった記憶がある。
が、それ以外の話となるとあまり詳しくはない。
漢文では簡単に読めないし、現代文訳のものもあまり一般向けのものはなく、高校での漢文の授業以来、『史記』については、ほとんど触れる機会がなかった。
今回、思いがけず、横山光輝により『史記』の世界に入るこむことができた。
漫画だと、サクサクとページが進み楽しめる。ありがたい。

『史記』には、才能が有りながら不遇な生涯を終えた人が数多く登場する。
有能であるがために、邪魔な存在になる前に芽を摘んでおけという理由で殺されてしまった人物もいる。
裏切り、猜疑心の犠牲となった人物たちの無念さに思いを馳せた。
そして戦乱の連続だった春秋戦国時代に散っていった名もなき兵士たちのことも。
特に、前261年からの長平の戦いで、降伏してきた趙軍40万の兵士を、秦が生き埋めにしたという話は酷いと思った。

『史記』をひもとけばこんな話だらけ。
きっと、こうしたことを繰り返し続けてきたのが、人間の歴史というものなのだろう。
そして、そのことが130巻約52万字の記録として残されたということにあらためて感動する。
屈辱的な境遇にも負けず、伝説上の皇帝である五帝から前漢武帝までの歴史を書き記した司馬遷という歴史家。
その不屈の精神はその2100年後を生きている私の心に強烈に響いた。
プロフィール

萩谷功枝

Author:萩谷功枝
世界史教師をしています。

映画や本の紹介、最新のニュースから感じたこと、など自分の日常を通して、世界史のことを考えていけたらと思います。

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