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奇跡がくれた数式

奇跡がくれた数式
奇跡がくれた数式2


2016年公開のイギリス映画
原作は『無限の天才、夭折の数学者ラマヌジャン』
出演:デブ・パテル(ラマヌジャン)」
   ジェレミー・アイアンズ(ハーディ)

めちゃめちゃ頭のいい人のストーリーが結構好きである。
特に数学のできる人の話は面白い。

この作品は、数学に天才的な才能を持つ貧しいインド人青年ラマヌジャンが、彼の才能を理解してくれた数学者のハーディやリトルウッドと共に研究を続けたことを描いたもの。
同じく数学者(経済学者)を主人公にした『イミテーションゲーム』や『ビューティフル・マインド』に比べると、驚くような展開があるわけではなく、地味な構成ではあるけれど、当時の権威主義的なイギリスの学会が、植民地インドから来た貧しい学歴もないラマヌジャンに対して差別的な扱いをする中で、彼に理解を示すハーディとリトルウッドがまったく対等の立場でともに研究を進めていくのが素晴らしい。

普段縁のない数学の世界ではあるけれど、この作品を見て、奥が深くて、まだまだ解明できてないことはいっぱいあり、ラマヌジャンのように天才的なひらめきを持った人が解明に挑むような難題がいっぱいあることがわかった。

素数についてはなんとなく知っていたけれど、分割数については、その言葉自体をはじめて聞いた。
分割数とは、「自然数nの分割の総数を表す数論的関数」だそうだ。
4の分割数は5。P(4)=5 と表す。
どういう事かというと、4という数を分割すると、
4、3+1、2+2、2+1+1,1+1+1+1
の5種類があるという事。
ここまでは、頭の中で理解できる。
P(200)となると、ラマヌジャンの計算では3兆9729億9802万、だそうで、ここまで来ると、数学者の間での誤差何パーセントかを問題にするような、素人(シロウト)にはわけのわからない話になっていく。
ラマヌジャンは、不可能と言われた分割数の公式に挑んでいく。

ラマヌジャンにとっては、あらゆる正の整数が「親しいお友達」なのだ。
タクシーナンバーの「1729」は、普通の人にとってはただのつまらない4ケタの数字に過ぎないが、彼にとっては、
「立法数の和で、2通りに表せる最小の数」。
つまり、1729は 12の3乗 + 1の3乗 = 10の3乗 + 9の3乗なのだそうだ。
(きれいに式が表記できなくてすみません)
     

この作品のテーマは、貧しさ、差別と偏見のある恵まれない環境の中研究を続けるラマヌジャンと、彼の才能を信じたハーディとの心の交流なのだと思う。
ラマヌジャンが病気のため若くして亡くなってしまったのは、人類レベルで残念なことだけれども、彼の研究は、これからも数学者たちに影響を与え続け、ラマヌジャンの公式はビッグバンの研究に役立っているという。


*******
ブログを書いている途中、はるか昔の高校生の時に、よくわからなかった「順列と組み合わせ」を、図書室で先輩にわかりやすく教えてもらい、その先輩のことを素敵だと思ったことを思い出した。
数学のできる人は私にとってあこがれの存在らしい。

以下は、以前このブログで書いた、数学者を主人公にした作品です。
『イミテーションゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』
現在のコンピューターの基礎をつくったアラン・チューリングのお話。
http://haginori55.jp/blog-entry-54.html

『ビューティフル・マインド』
ノーベル経済学賞をとったジョン・ナッシュのお話。
http://haginori55.jp/blog-entry-36.html

どちらも、面白かったです。

「LION/ライオン~25年目のただいま~」

2020年4月。コロナ感染防止のための外出自粛要請が出て、STAY HOMEで過ごしています。
こんな時、amazon プライムはありがたい。家に居ながら、無料配信されているものや、かねてから見たいと思って見逃した作品を検索してみることができます。

今回は、無料配信されていた「LION/ライオン~25年目のただいま~」を観ました。
2016年のオーストラリア・アメリカ・イギリス合作。
キャッチコピーは、
迷った距離1万キロ、探した時間25年、道案内はGoogle Earth.
ライオン

前半:とにかく子役がかわいい。
やさしいお母さんと大好きなお兄ちゃん達家族と、貧しいながらも愛情に満ちた暮らしをしていたサルーは、お兄ちゃんとはぐれ、
迷い込んだ長距離回送列車が発車してしまい、下りるに降りられず、自分の住んでいた町からはるか離れたコルカタに到着してしまう。変な人に連れて行かれそうになっても、賢いサルーは走って、走って、逃げる。
5歳の幼児が全力で走る姿がいい。ドキドキしながら応援してしまう。

後半:オーストラリアの夫婦に養子としてひきとられたサルーは、養父母の愛情のもと、大切に養育され、成人した。
恵まれた生活をしていたサルーだが、自分の生まれ育った町のこと、離ればなれになった家族のことがどうしても知りたい。
おぼろげな記憶のもと、Google Earthを頼りに、自分の生まれ育った町を探していく。

サルー

ニコールキッドマン

成人したサルーを演じたのはデブ・パテル。
『スラムドッグ$ミリオネア』で次々にクイズに答えていったあの人。

そして育ての親スーを演じたのはニコール・キッドマン。知的で、素敵。
この人についてwikiで調べてみたら、関わっている慈善活動がたくさんあってすごかった。
この作品でも、日本ではあまり一般的でない「養子」という制度についても知ることができた。

養子として引き取った子供が必ずしもサルーのようにかわいくていい子とは限らない。
2人目の養子のマントッシュのように、心に不安定さを抱え続け、育ての親との確執のあるケースもあるだろう。
作品の中では、スーとジョンの養父母が、そのこともきちんと踏まえて、養子を引きとっているというのがすごいと思った。
決して簡単なことでないのも覚悟の上なのだ。
さらに、育てた子供が、サルーのように実の親を探し当てたいという場合も出てくるだろう。
この養父母はその気持ちをきちんと理解して送り出す。
しかも、この夫婦は子供ができないから養子をとろうとしたのではない。
最初から恵まれない子供の誰かを救いたかったのだ。
見返りなどを求めてはいない、愛の深い人たちなのだと思う。

見終わった後、気分がよくなる作品です。お勧め度★★★★★です。

リリーのすべて

リリーのすべて

エディ・レッドメイン ホーキング

エディ・レッドメイン ハンサム

リリーのすべて20160414001157

前回、「博士と彼女のセオリー」について書いた。
車椅子の天才科学者ホーキング博士を演じたエディ=レッドメインが見事だった。
その彼が今度は自分の性に違和を感じ、世界初の性別適合手術を受けたリリー・エルベを演じた。

まるで別人。
女装したレッドメインが美しい。

今でこそ、LGBTという言葉は一般的な用語となり、差別や偏見はやめましょう、という考えが普及してきた。ざっと調べてみたら、LGBTという用語が北米・ヨーロッパにおいて一般的な用語となったのは1990年代半ば以降のことで、国際連合などの国際機関において公文書に使用されるようになったのは2006年以降のようである。
日本においても2011年に東京レインボープライドが発足し、この組織がNPO法人となったのが2015年。虹色のフラッグを掲げて、その運動を支持する動きが高まり、FaceBook上でもプロフィール写真にこのフラッグを使うことで盛り上がったが、あの動きはまだ数年前のことなのだ。
(調べているうちに、その後、この組織はGの人とその他の人との分裂があったという記事に出会った。どこの組織も運営は大変だ。)

1990年代以前の方々は差別や偏見の中で肩身の狭い思いをして生きていたのだろうと思う。(もちろん、今も差別・偏見はある。)
ましてこのリリー・エルベは1920年代を生きた人物だ。苦しかったと思う。

この作品は1926年のコペンハーゲンが舞台。
リリーとして女性の名前で生きていくことになるアイナ―・ヴェイナーとゲルダ・ヴェイナーの夫婦の愛の物語でもある。

私はつい女性の視点から、もし自分が同じ立場だったら?という事を想像してみる見方をしてしまうのだが、ここまで自分の連れ合いを支えることができるかどうか、まったく自信がない。(1つ前のブログでも同じようなことを書いた気がする。)

ゲルダがすごい。自分の性に違和を感じ、女装をして出かけていく夫のことを案じる。
ついには性転換手術を受けようとする夫を支える。
術後の痛みに苦しむ夫をそばに寄り添って介護する。

リリーになる前のアイナ―は決してゲルダをだましていたわけではない。
自分の性に違和を感じ、ずっと変だ変だと思っていながら、どうしてなのかわからなかった。
医者の診察を受けても精神疾患としか扱われなかった。
そしてついに「それは病気ではない。」という医師が現れ、性別適合手術の存在を知らされる。

自分がトランス・ジェンダーだとわかったとき、どのような選択をするのか?
(当時はそんな言葉もなかったと思うが。)
夫がトランス・ジェンダーだとわかったとき、妻はどのような対応をするのか?

先例がないことに取り組む人がいて、道は拓ける。


プロフィール

萩谷功枝

Author:萩谷功枝
世界史教師をしています。

映画や本の紹介、最新のニュースから感じたこと、など自分の日常を通して、世界史のことを考えていけたらと思います。

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