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ザ・プロファイラー  「ポル・ポト 姿なき独裁者」  岡田准一くん、いいぞ!

NHKの「ザ・プロファイラー」という番組でポル・ポトを取り上げていた。
(BSプレミアム 2月18日(水))

ゲストの田原総一郎が「ポル・ポト、関係ない、ではなく、是非、若い人たちに、何があったのかを見て欲しい。」といっていた。

同感。
よその国の、40年ほど前の出来事である。
若者にとっては知らん、興味ない、関係ない、出来事だろう。
が、これを取り上げ、考えてみることで、見えてくるものがある。




カンボジアでは1976~79年の間、ポル・ポトなる人物が政権を握り、今から思えば信じられないようなメチャクチャな政策を行った。

彼が目指したのはだれもが平等な共産主義社会の建設。
しかし、そのために行ったのは、都市民を農村へ強制移住させ、そこで強制的に農作業をさせるというものだった。
(都市民はある日突然、着の身着のまま、都市から追い出された。逆らうもの、足手まといになる病人などの弱者はその場で射殺された。)


幾つかのキーワードがある。

国民総農家。(ちょっと考えただけでも、農業だけで国家が成り立つはずはない。)

貨幣経済の否定。(この現代社会で、配給と物々交換でやっていけということか?)

文字を読めたら処刑。(つまり、文字を読める教師・学者、医者などの知識人の排除。こうした知識人が、このとんでもない政権に抵抗してくるがわかっていたからだろう。)

「子ども医者」。小児科医ではない。医者を殺してしまったために医者がいなくなってしまったから、子供に医者をやらせた。(無資格のものが医療行為をやったら犯罪だろう!)

家族の解体。(本来なら、善悪の判断など、人間としての最も基本的なことは、幼い時にまともな親から教育を施されなければならないと思う。家族の解体とは、子供を親から引き離し、わけのわからぬ革命理論を子供に刷り込むためのものだ。)


反対派の粛清による犠牲者、病気・餓死などの犠牲者は100万人とも200万人とも言われている。(当時のカンボジアの人口は約300万人だったから、人口の3分の1以上が犠牲になったということだ。)

番組では、ポル・ポトとはどんな人物で、なぜ、このようなことが起きてしまったのかということを追跡していた。

そのポイントとして挙げていたのが以下の3点。
1.ウソだらけのプロフィール。
2.めだたない記念写真
3.大虐殺の引き金となったつぶやき -「責任をとるべきものがいる」


詳しく説明しなくても、上記の3点を読んだだけで、だいたいの想像がつくと思う。

実際、私は、ポル・ポトの顔写真を見たのはこの番組が初めてだった。
影の実力者で、公に姿を現さなかったからだ。
前面に出て、すべてを受けて立つのではなく、陰で人を操る奴は卑怯だと思う。

そして経歴。どんな経歴なのかも、当時からよくわからなかったけれど、そもそも言っておいたことがウソだったのか・・。

3番の言葉は、まさに「人のせい」。
「責任をとるべきもの」は、ポル・ポト、お前だろう!


なぜ、こんな人物がうまれてしまったのか。

豊かな生まれで、高等教育を受けることができたのに、そこで味わったのは、「劣等感」。
パリに留学するチャンスに恵まれたのに、そこでも味わったのも、「劣等感」であったという。

普通、人は劣等感をバネにして成長していくものなのに、この人物の場合、それが「エリートへの憎しみ」に向かって行ってしまった。



山間部で勢力を拡大した武装集団が、ある日突然、都市を襲撃して、都市民を農村に追放する、という事態を想像してみよう。
逆らえば殺される。
無防備な都市民は逃れようがない。


私は、この番組を見ているうちに、日本のオウム事件を思い起こした。
規模も状況もまるで異なるものではあるけれど、めちゃくちゃぶりは共通している。
日本の場合、成熟した市民社会が成立しているから、オウム真理教が1990年の衆議院総選挙に大量立候補した時も、当選者を一人も出すことはなかった。(全員落選。)
しかし、この教団が、山梨県上九一色村という日本の片隅でサリンという猛毒を製造していたことに気づくことはできず、1995年3月に地下鉄サリン事件が発生してしまった。
幸い、この教団がポル・ポトのように勢力を拡大する前につぶすことはできたが。



そして思う。
こうした信じられないような恐ろしい出来事の原因を細かく追及していくと、根底にあるものとして共通するのは、「劣等感」「憎しみ」といった、人間の持つドロドロとした感情に行きつくということだ。

人間の「心の闇」に焦点を当てたこの番組。考えさせられました。



追記:
ポル・ポト政権下のカンボジアを舞台にした映画に『キリング・フィールド』がある。
(TSUTAYAに借りに行くときは、『キリング・フィールズ』という紛らわしい作品もあるので間違えないようにする必要がある。)
アメリカ人ジャーナリストとカンボジア人通訳との友情が描かれていて、ラストで流れるジョン=レノンの「イマジン」で泣いてしまう。
上映時間141分の大作なので、興味のない人にはお勧めできないけれど、ポル・ポト政権下で起こった悲惨な状況、そんな中でも生き延びていこうとする主人公のたくましさが描かれていて、私の中ではベスト10に入る秀作です。

そして、もう一つ。最近の岡田准一くん、本当に輝いています。番組での真摯な態度に好感が持てるし、何より、彼は勉強家なのだと思う。いいぞ!

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萩谷功枝

Author:萩谷功枝
世界史教師をしています。

映画や本の紹介、最新のニュースから感じたこと、など自分の日常を通して、世界史のことを考えていけたらと思います。

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