『13デイズ』

『13デイズ』

2000年のアメリカ映画。
1962年のキューバ危機を題材にした映画。
ジョン・F・ケネディ大統領、弟の司法長官ロバート・ケネディ、そして大統領補佐官のケネス・オドネル(ケビン=コスナー)の3人を中心に、何とか核戦争の勃発を回避しようと必死に対応する13日間の緊張を描いている。

実は以前にこの作品を見ている。が、その時は、キューバ危機の結末についての知識があるから、危機は回避されるという安心感をもって漫然と見てしまった。
今回、見直してみて、まさに核戦争が勃発してもおかしくはないような、かなり危険な展開だったのだなということを改めて感じた。

キューバ危機とは。
東西冷戦中の1962年、ソ連がキューバにミサイル基地を建設中であることが航空写真の分析で発覚する。
キューバにそんなものをつくられたらニューヨーク、ワシントンを含むアメリカ本土が射程圏内に入ってしまう。
これに対応するため、国家安全保障会議執行委員会(“EXCOM”)が設置される。

ここからケネディ大統領の13日間の苦悩が始まる。
ただ単に、ソ連のフルシチョフを相手に駆け引きをすればよいというのではない。
大統領はまず、アメリカ側の意見の統一をしなければならない。
EXCOMの会議において、「ミサイルの発射準備が整う前に空爆をすべきだ」という、ルメイをはじめとする軍部の意見があった。まだミサイルは発射の準備が整っていない。しかし、もたもたしているうちに、準備完了してしまったら、取り返しのつかない事態になる。時間との戦いでもあるのだ。だから、即刻、空爆せよと発言するルメイ。
が、それをやったらどうなる?報復は免れない。
ケネディ大統領は苦悶する。

キューバに核兵器が持ち込まれないように海上封鎖と臨検で対応することを選択するケネディ。
空爆という選択は開戦につながるから選択したくないのだ。
しかし、ソ連船が応じなければ、空爆・侵攻に切り替えなくてはならない。臨界線に近づくソ連船。
ああ、もう最悪の事態は避けられないのか・・・、と思われたギリギリのところで、ソ連船は停止し、旋回して引き返す。

これで、ややほっとする。
しかし、これで、解決ではない。建設中のミサイル基地の解体という問題がまだ残っている。
外交交渉が始まる。ソ連は、フォーブスという交渉人を送り込む。
こいつは信用できる人間なのか?罠かもしれない。交渉は時間稼ぎで、この間にミサイルの発射準備は進んでしまうかもしれない・・。
そして、駐米ソ連大使との交渉に向かう大統領の弟ロバート=ケネディ。
オドネルが運転する車のなかで、ロバートがつぶやく。「こんな重い任務なんて....。」
オドネルが励ます。「妻や子供たちの命を託せるのは君しかいない。」


本当にどっちに転ぶかわからない状況だった。
海上封鎖の時に、米海軍が発した空に向けて発射する曳航弾を、ソ連船への攻撃の発砲と勘違いして、国防長官のマクナマラが怒りだす場面もあった。
偵察に行ったU2機が撃墜されるという出来事もあったが、報復行為は自制された。
緊張が続くなか、どこかでそれが一つずれて、攻撃が起こり、それに対する報復行為が起こってしまったら...。
ケネディの判断を弱腰とする強硬派に押されて空爆・侵攻というシナリオを選択した可能性もあったのだ。


途中、ケネディ大統領が、統合参謀本部議長テイラーを一喝する場面がある。
アメリカ大統領は合衆国軍の最高司令官としての指揮権をもつのだ、と。

アメリカ大統領の権限は大きい。
アメリカ大統領がまともな判断を下せる人物でないと、世界の平和が脅かされる。
この時は、大統領は軍が暴走しないように抑え込むことができた。しかし、展開によっては、核戦争という最悪の事態に突入する可能性もあったのだ。



今年は大統領選挙の年。アメリカ大統領は世界の平和を左右する。
まともな人物が選ばれますように。

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萩谷功枝

Author:萩谷功枝
世界史教師をしています。

映画や本の紹介、最新のニュースから感じたこと、など自分の日常を通して、世界史のことを考えていけたらと思います。

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