ファンタジーと実話

NHKの「精霊の守り人 シーズン1」(2016年3月19日~連続4回 )の番組宣伝で養老孟司さんがファンタジーの楽しみ方にかたについて語っていた。それによれば、ファンタジーだからこそ描ける人間の真実があるという。
「所詮、絵空事」と思わずに、奇想天外なストーリーを楽しみ、そこに現れる人間模様を見るべし、とのことだった。
なるほど。ちょっと、目からウロコだった。
私のような現実主義者は、実話でないものは、「作り話」という大前提で見てしまう。
で、ちょっと発想をかえて「精霊の守り人」を見てみた。
綾瀬はるかがかっこいい。子役の清原果耶ちゃんも出る場面は少なかったが、短槍(たんそう)を使いこなしたアクションが立派だった。綾瀬はるかも傷だらけになってアクションシーンに取り組んだようで、見ていて引き込まれた。
が、しかし...。やはり、ストーリーにはついていけなかった。
原作者の上橋菜穂子さん、ごめんなさい。私のような人間は、ファンタジーは見ない方がよいようです。

いつからこういう人間になってしまったのだろう。子供の頃は、ピーターパンも「不思議の国のアリス」も大好きだったし、魔法使いや魔女が出てくる話もOKだったのに。
ところが、どうも最近、実話でないものに心を動かされることがなくなってしまっている。
年齢とともに心が硬くなってきているのだろうか。これは、まずい傾向に陥っているぞ..。

そんな私が、『オデッセイ』を見てきた。
2015年のアメリカSF映画。日本での公開は2016年2月。
火星に置き去りにされてしまった主人公の宇宙飛行士ワトニーにマット=デイモン。
マット=デイモン好きとしては、見に行かないわけにはいかない。
全編、ほとんど彼が出ずっぱり。

ワトニーが火星に置き去りにされたときの状況は、水:無し、酸素:ほぼ無し、食料31日分、次の救助1400日後という、ほぼ生存不可能な状況だった。
しかし、ワトニーはそんな絶望的な状況のなかでも、生存することを諦めず、科学の知識をフルに活用して生き抜いていこうとした。
残留保存されていたわずかな物資を利用して、水、空気、電気をつくる。さらに、植物学者としての知識を生かして、去って行ったクルー達が残したパック詰めの排泄物を利用して土をつくり、ジャガイモの栽培に成功し、食料も確保する。
どんな絶望的な状況であれ、人間を支えるのは気力と知力ということか。
サバイバルものとしても楽しめる作品だった。
マット=デイモンの魅力を十分堪能できたし。ジャガイモが芽を出した時は、見ていてうれしくなったし。

でも、頭の中のどこかで、「無理~。不可能~。ありえない~。」とつぶやいている自分がいた。なので、反省。何はともかく、SF映画は楽しんでみるものだ
「無理~。」とかいう人間は、困難な状況に置かれたときに真っ先に諦める。無理難題をふっかけられた時に、何とかしようとせずに、最初に「できません。」と言ってしまう。
架空の話でも、諦めなかったワトニーから学ばなければね。

とはいうものの、本音を言ってしまうと、私は『アポロ13』の方がしっくりくるのだ。
こちらは実話。ラヴェル船長にトム=ハンクス。
1970年、第3番目の有人月面飛行をめざしたアポロ13号は、酸素タンクの爆発などのトラブルが発生し、帰還困難状況になる。電力不足にも追い込まれ、電力の節約のため、ヒーターを切ったため船内は1~4℃の寒さになる。乗組員は凍えるような寒さを耐える。さらに二酸化炭素濃度の上昇。大気圏再突入への軌道のずれ。なんだかよくわからないけれど、大変なことが次々に起きる。しかし、様々な困難を乗り越え、アポロ13号は無事、地球に帰還する。
どんなときにも冷静に、そして諦めずに最善を尽くしたラヴェル船長。必死に指令を送る地球の管制官や技術者たち。感動ものである。(実話だし。)

アポロ計画は1969年のアポロ11号が人類初の月面着陸を果たし、その後、17号までが打ち上げられ、13号以外の12号、14~17号はすべて月面着陸に成功して、失敗したのは13号だけ。しかし、困難な状況を乗り越えて、無事、地球への帰還を果たしたことから、「失敗の成功」といわれている。

余談。
TSUTAYAの旧作DVDコーナーで、作品を物色していたら、『アポロ13』の隣に並んでいた『アポロ18』というタイトルが目に入った。
「なんだこれ? アポロ18号なんてあったっけ?」
借りようかなと思ったけれど、ヘンだなと思ったので、とりあえず、借りないで家に帰り、早速検索。よかった。これは、SFホラーで、私の好みではないものでした。しかも、ネットでは酷評。

結論。
映画にもファンタジーやアクション,SF、ホラーなどいろいろなジャンルがあるわけで、それぞれの好みがあるのだから、好きな作品を見ればよいと思う。
『ゼロ=グラヴィティ』や『オデッセイ』などは、宇宙を舞台にした優れた作品で、好評だったので見た。宇宙空間という、人間にとって過酷な条件下で発生したトラブルに対処する主人公たちの懸命な奮闘は感動を呼び起こす。面白かった。

私は、映画を見ながら世界史を考えていきたいので、当然、実話かそうでないかにはチェックが入る。
まあ、性分なのだから仕方がない。
が、ワクワクしながら作品を楽しめるような、心の柔らかさは失ってはいけないなと思った。

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萩谷功枝

Author:萩谷功枝
世界史教師をしています。

映画や本の紹介、最新のニュースから感じたこと、など自分の日常を通して、世界史のことを考えていけたらと思います。

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