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『あん』

2015年公開の、川瀬直美監督作品。
いい作品だと聞いていたので、気になっていたのだが、遅ればせながら、ようやく見ることができた。
今回も作品についての情報はほとんど仕入れず、どんな作品なのかについてもあまりよく考えず、「おいしいものを心をこめて作ることでお店が繁盛するという楽しいストーリー」なのだと勝手に想像し、気楽に見始めてしまった。
作品の前半は、まあそういうお話。
しかし、徳江さんの抱えている事情、店長の抱えている事情が明らかになる後半になると、ストーリーの展開はまったく異なってくる。
心構えができていなかったので、終盤の30分くらいは、登場人物たちの抱えている事情の辛さに息苦しくなってしまうほどだったが、最後まで引き込まれ、考えさせられた。
評判通りの内容の濃い作品だった。
考えてみたら、川瀬直美監督なのだから、お気楽作品であるわけはない。
娯楽や気分転換でなく、ずっしりとしたきちんとした作品を見たいという方お薦めできる作品です。

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どら焼き屋の雇われ店長千太郎(永瀬正敏)の店に、徳江(樹木希林)という76歳の女性がやってきて働くことになる。徳江が小豆と対話をするように心をこめて丁寧に作った粒あんはとてもおいしく、評判となり、店に行列ができるほどになる。ところが、徳江さんの抱えている事情がうわさで拡がってしまうと、客足は途絶えてしまう。
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作品の最後の部分で、徳江さんが店長にあてた手紙の文が徳江さんが読み語るシーンが流れる。
「私たちはこの世を見るために、聞くために生まれてきた。
 だとすれば、何かになれなくても、私たちには生きる意味があるのよ。」


徳江さんがこの境地に達するにはどれほどの辛い時間が流れたのだろうかと思う。
覚悟を決め、耐え抜いた徳江さんの人生。
そんななかで「私たちには生きる意味があるのよ。」と言った徳江さん。
「すごい。」としか言いようがなく、その達観した心のあり方に圧倒されてしまった。

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萩谷功枝

Author:萩谷功枝
世界史教師をしています。

映画や本の紹介、最新のニュースから感じたこと、など自分の日常を通して、世界史のことを考えていけたらと思います。

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