『三島由紀夫 vs 東大全共闘』

三島由紀夫 vs 東大全共闘  (2020)
三島由紀夫 vs 東大全共闘

2020年3月21日に公開された作品で、公開直後に見に行った。
テレビCMでこの作品のことを知った時、とにかく見たいと思い、時期としては、この直後の4月7日に1回目の緊急事態宣言が発令されたのだから、世の中にコロナ感染への不安がじわじわと強まっていたころだったけれど、とにかく行ってきた。

キャッチコピーどおり、「圧倒的熱量を、体感」してきた。
三島由紀夫という人物の人間力に魅了されてきた。
1960年代末の「政治の季節」と言われた時代を感じてきた。

一年後の2021年、Amazonプライムで配信されるようになったので、もう一度見てみた。
やはり、見入ってしまった。

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三島由紀夫

1969年5月13日、三島由紀夫は、超満員となった東大教養学部(駒場)900番教室にたった一人でのりこみ、東大全共闘の学生たちとの討論に臨んだ。
この前年の1968年、東大全共闘は、1月18日・19日に警視庁機動隊との安田講堂攻防戦で、催涙ガスと放水による厳しい攻撃に敗北している。
このころを学生運動の頂点とするならば、その翌年である1969年は、運動の熱気が下火になり始める時期に差し掛かっていた。全共闘側も活動の盛り上がりのための打開策がないかを探っている時だった。
そこで、打ち出されたこの討論会。実に興味深い設定であると思う。
簡単に言ってしまえば、左翼と右翼の全く考え方の違うものによる討論だ。

作品は、当時の学生運動の経過や、その頃の三島由紀夫の活動に触れながら、いよいよ討論の映像に入っていく。
私は三島由紀夫に心酔しているわけではないのだが、討論に臨む三島由紀夫を見て、なんて人を引き付ける力のある人なのだろうと感嘆した。
この人の人間力、ディベート力、すごいです!

三島由紀夫は、学生たちとの討論に実に誠実な態度で臨んでいた。質問に対する受け答えがまっとうなのである。ずれた回答をしたり、意図的にはずしてはぐらかすようなことはなく、時にユーモアを交え、笑いをとりながら、真摯にしゃべっていた。
聴衆の1000人を超える学生たちは、三島が何を語るのかに集中している。三島一人に対して、聴衆はすべて敵であるという舞台設定の場で、あれだけのスピーチができる三島由紀夫は天才だ。

真剣勝負での討論のラスト。
言葉は言葉を呼んで、翼をもってこの部屋の中を飛び廻ったんです。この言霊がどっかにどんなふうに残るか知りませんが、私がその言葉を、言霊をとにかくここに残して私は去っていきます。そして私は諸君の熱情は信じます。ほかのものは一切信じないとしても、これだけは信じるということはわかっていただきたい。」
2時間半にわたる討論の最後に、三島由紀夫はこう言って会場を去った。

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この翌年の1970年11月25日、三島由紀夫は自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺した。

三島は何を考え、何を求めていたのだろうか?

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長い論文の中の一部を切り取るのは、全体の論旨からずれることがあるので注意しなければならないが、三島由紀夫は、「反革命宣言」と「反革命宣言補註」のなかで以下のことを明確に述べているので引用しておく。(出典は『文化防衛論』ちくま文庫)
文化防衛論 本

なぜわれわれは共産主義に反対するのか?
第一にそれは、われわれの国体、すなわち文化・歴史・伝統と絶対に相容れず、論理的に天皇の御存在と相容れないからであり、しかも天皇は、われわれの歴史的連続性・文化的統一性・民族的同一性の、他にかけがえのない唯一の象徴だからである。」
(『文化防衛論』 p.11)


われわれの考える天皇とは、いかなる政治権力の象徴でもなく、それは一つの鏡のように、日本文化の全体性と、連続性を映し出すものであり、このような全体性を映し出す天皇制を、終局的には破壊するような勢力に対しては、われわれの文化伝統を賭けて闘わなければならないと信じているからである。」

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はっきりわかることは、三島由紀夫が共産主義革命に反対する立場をとっていて、その行動の根拠を天皇としているということである。

21世紀の現在、社会主義・共産主義はとうの昔に敗北しているから、こうしたことを真剣に語っていることが滑稽にすら感じてしまうかもしれないが、当時は、東西冷戦の真っただ中の時代だった。
社会主義を理想の社会・政治システムだと考える人が世界の半分いたのだ。

高度成長期の豊かさを享受していた日本人のほとんどは、資本主義が負けるわけはないと思っていたし、日本で革命が起きて世の中がひっくり返ってしまう可能性はないだろうと、安穏に思っていたわけだけれど。

そんな社会の状況の中、三島由紀夫ははっきりと反革命宣言をして、少数者としての誇りをもちながら活動していた。

「われわれ反革命の立場は、現在の時点における民衆の支持や理解をあてにすることはできない。われわれは先見し、予告し、そして、民衆の非難、怨嗟、罵倒すら浴びながら、彼らの未来を守るほかないのである。」
「われわれは自分の中の少数者の誇りと、自信と、孤立感にめげないエリート意識を保持しなければならない。」

「では、その少数者意識の行動の根拠は何であるか。それこそは天皇である。」

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はっきりとした文章で、三島の気持ちがわかる。

世の中には、ボ~っと生きていて、物事を深く考えずに安穏に暮らしている大半の人々と、危機感を感じて、世の流れがもしも悪い方に向かっているなら、何とかその流れを変えていこうとする少数者がいる。

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三島は、少数者としての「民衆の非難、怨嗟、罵倒」には耐える覚悟をもって、東大全共闘との討論に臨んだ。
場合によっては壇上で腹を切ってもいいという覚悟で短刀を忍ばせて会場に行ったようである。
それくらいの覚悟をもって討論に臨み、結果は、この討論会の会場にいた1000人を超える聴衆たちをひきつけた。みな真剣に三島の語ることを聞いた。あとで三島が述べている通り、この討論会は三島にとって愉快なものであったようだ。実際、三島は時折、笑顔すら浮かべ、終始、楽しそうだった。

しかし、そうした覚悟を持った少数者にとって、無関心や嘲笑は屈辱的で耐え難いものなのだったのかもしれない。
三島はことにあたるときに、恥をさらすくらいなら、腹を切るという覚悟をもって臨んだ。
そして、市ヶ谷駐屯地での自衛隊員への呼びかけは失敗した。
だから、本当に割腹自殺してしまった。
数々の三島研究がされている中で、浅い理解ではあるかもしれないが、そういうことなのだと思う。

死に急ぎすぎであると思うし、あまりにももったいなくて、残念でたまらないけれど。


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2021年の今。
質問に対する答えになっていない答弁や、「緊密に」とか「徹底的に」とかいう空虚な修飾語だけがふわふわと流れてるだけで内容が全くない答弁を聞かされすぎているせいか、真剣勝負で言葉と言葉の応酬を繰り広げたこの討論が、とても新鮮で魅力的だった。

参考図書
三島由紀夫 vs 東大全共闘文庫
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韓国映画 オススメ10選

遅ればせながら、2020年から韓国ドラマにはまりました。
「愛の不時着」からです。
Netflixを開くたびにCM動画が流れるので気になりつつもあえて見ないようにしていたのですが、試しに第1回だけでもと思って見始めたら止まりませんでした。
その後、「ミセン(未生)「椿の花咲くころ」などを見続け、さらに韓国歴史ドラマの「イサン」や「チュモン(朱蒙)」などエピソード80まである作品も見て、ステイホームの生活を過ごしました。多い日は一日5本ほど見続けてしまったほど、はまりました。
いずれも家族や友人たちの奨めてくれた作品です。
口コミの「面白かった」にはずれなし、でした。
韓国ドラマは、まだまだ見ていない作品がいっぱい溜まっていて、楽しみは尽きないという感じです。

口コミはありがたい、と思ったので、今度は私自身が情報を提供します。
韓国映画で、私が面白いと思ったもの10選です。
順位はつけがたかったのですが、便宜上、番号を付けました。1~5は韓国現代史、特に1980~90年代を知ることができる社会派作品です。6はアクションもの、7は現代女性の生きづらさをテーマにした作品、8はファンタジーです。
作品の下のURLは以前、私がこのブログで書いた過去記事です。こちらも参考にしていただけると嬉しいです。

1.1987 ある闘いの真実 (2017)
1987.jpg
1987年、ソウル大生の拷問死を引き金に、チョン・ドゥホァン軍事独裁政権の下で起こった、民主化を求める韓国の民衆の闘争を描いた作品。
著しい発展を遂げている韓国であるが、わずか30数年前までは、反政府勢力に対する酷い弾圧が行われていた。1987年という年は、韓国にとって民主化を勝ち取ることができた輝かしい年だったのだ。
後半からの中心人物ハン看守にユ・ヘジン
https://haginori55.jp/blog-entry-130.html

2.タクシー運転手 約束は海を越えて (2017)
タクシー運転手
1980年5月に起こった光州事件を描いた作品。
粛軍クーデタにより実権を掌握したチョン・ドゥホァン軍事政権に対して、光州市で民衆の抗議活動が起こった。これに対して軍事政権は武力をもって鎮圧をしようとし、学生や市民に多数の死者をだした光州事件が勃発した。
これを取材しようとするドイツ人記者を光州市まで乗せたタクシー運転手が見たものは...。そしてドイツ人記者を金浦空港まで送り届けようとするタクシー運転手と、それを妨害しようとする軍の攻撃、それを守り抜こうとする光州のタクシー運転手たちの協力。
繰り広げられる派手なカーチェイスも見どころ。
主人公のタクシー運転手にソン・ガンホ
光州のタクシー運転手にユ・ヘジン
https://haginori55.jp/blog-entry-111.html

3.弁護人  (2013)
弁護人 ソン・ガンホ

1981年のチョン・ドゥホァン軍事政権下で実際に起きた冤罪事件である釜林事件を扱った作品。釜山読書会の学生たちは逮捕令状もないまま不法に拘禁され、ひどい拷問を受け、自白を強要された。
この裁判で弁護人を引き受けたのが、ノ・ムヒョン(廬武鉉)大統領をモデルとするソン・ウンソク。
「法廷ものにハズレなし」の言葉通り、理不尽な検察側の起訴に対して、確かな証拠を持って反論していく弁護人の姿は気持ちいい。
ノ・ムヒョン大統領は若い時、きっとこのような正義感に満ちた人権派弁護士だったのだろうと想像でき、政治改革を成し遂げることができないまま、大統領退任後に自殺してしまったことが残念でならない。
弁護人ソン・ウンソクにソン・ガンホ
https://haginori55.jp/blog-entry-121.html

4.工作 黒金星(ブラック・ビーナス)と呼ばれた男 (2018)
工作

北朝鮮に潜入した韓国の工作員をめぐる、実話をもとにしたフィクション。
1992年の時点で北朝鮮の核開発はどれだけのレベルだったのだろうか?
それを探るため,工作員として北朝鮮に潜入したブラック・ビーナス。
優秀な将校であった過去を消し去り、工作員としての任務を遂行する。韓国の工作員であることがばれれば命はない。
過酷な任務だ。
立場の違いがあるものの、北朝鮮の高官リ所長との間に築いた信頼関係、友情が感動もの。
キム・ジョンイル委員長のそっくりさんを起用しての会見の場面も見どころ。
https://haginori55.jp/blog-entry-124.html

5.国家が破産する日  (2018)
国家が破産する日

1997年、タイの通貨バーツの急落をきっかけに始まったアジア通貨危機は、東アジア・東南アジアの各国を巻き込み、この結果、特にタイ・インドネシア・韓国は大きな打撃を受け、IMF管理に入った
この作品は、韓国を襲ったこの国家的危機に際して、立場・考え方の違う4人の人物を中心に、それぞれがどのような対応をとったのかを描いたもの。
ハン・チーム長・・何とかこの危機の被害を最小限に食い止めようとして、韓国銀行上層部や政府高官に対応を要請して奔走する韓国銀行の通貨対策チームのリーダー。
ユン・ジョンハク・・ウォンが大暴落するということをいち早く予知し、泥船からは先に逃げたものが生き残ると考えて勤めていた金融会社を早々に退職して、ドルを買いあさる。ウォン暴落により大もうけした彼は、新事業を立ち上げ、投資に乗り出す。国家的危機を自分にとってのチャンスと考えて、のし上がっていこうとする。つまり、自分が助かり、自分が儲かる方法を考えている人物。
食器工場経営者のガブス・・中小企業は資産がなく、危機を乗り切れるだけの体力がないから、不渡り手形一枚をつかまされただけで資金繰りが立ち行かなくなる。どの中小企業の経営者がそうであるように、このような経済危機に巻き込まれたとき、実に弱い立場にあるのだ。しかも情報不足。政府もこの危機を国民に伝えていないから、すすめられるままに手形取引による事業拡大を決断する。子供の教育費のことなど家族のことを考えての選択だったが。
パク財務事務次官・・どこの国にもいそうな政府の高官。政策決定をできる強い立場にある人が、弱い立場の国民のことを考えていない。中小企業がつぶれて大企業が生き残ればよい、と考えているのだ。しかも、この人は会議の時に、ハン・チーム長に対して「女性は感情的な判断をする」というような差別的発言をして、ハン・チーム長の意見を無視した。
(どうしてもハン・チーム長に感情移入して見てしまうので、このパク次官に対して怒りが沸く。)

経済のことがテーマなので難しいかと思ったが、それぞれの立場の人の考え方をわかりやすく描いていて、韓国を襲ったIMF危機について知ることができた。


6. 82年生まれ、キム・ジヨン (2019)
82年生まれ、キム・ジヨン

韓国で2016年に発表され、130万部のベストセラーとなった小説を映画化した作品。
2019年10月に韓国で公開され、日本では2020年10月に公開された。

場面、場面のいたるところで、登場人物のセリフや思いに、「わかる!」といいたくなった。
それは出産・育児による仕事の中断や子育て中の大変な思いなど、同様のことを私自身も経験してきたからであるのだが、今までの世の中では、ほとんどの女性が仕方ないと思って我慢してきてしまったことのように思う。
しかし、我慢することが果たして美徳か?ということが今、投げかけられている。
文句を言わずに子育てを乗り切ってしまった方が、よくできた女性として称賛される。
が、それでは、女性の我慢の上に成り立っている社会はいつまでたっても変わらない。
声をあげることは実は損をする。「そのくらいのことは我慢しろ。」、「わがままな女だ。」といわれてしまうだろう。
それをあえて取り上げること。あきらめずに声をあげて、理解を求めること、そしてそれが社会を変えていくことにつながるということ。
そんなことを考えさせられた作品だった。


7.コンフィデンシャル/共助 (2017)
コンフィデンシャル/共助

アクション映画。面白い!ヒョンビンがかっこいい! ユ・ヘジン、いい味を出している!
2時間5分の作品。夢中になって見入ってしまいました。

見終わって、冷静になってから考えたこと。
これは韓国の娯楽映画で、ストーリーは北朝鮮から偽札製造用の銅板をもって韓国に逃亡したギソンを追って、北朝鮮の警察と韓国の警察が史上初の共助捜査を行うというもの。
これって、北朝鮮が国家ぐるみで高性能の偽札製造を行っていたということ?
この作品を北朝鮮側の人が見たらどう思うのかしら、と思ってしまった。
途中、北朝鮮の刑事チョルリョン(ヒョンビン)と韓国のカン刑事(ユ・ヘジン)が喧嘩をしてはなったセリフがある。
カン刑事が北朝鮮国のことを「3代独裁で国もひどいザマだ。人を飢えさせている。」
これに対して、チョルリョンの「貧富の差が激しい南朝鮮よりマシです。北朝鮮は平等に貧しい。共和国を侮辱するな!」という応酬。
喧嘩のセリフが、双方の国の問題点の指摘。
ヒョンビンのアクションに惚れ惚れしながら、ストーリーの背景は、一つの民族が国家体制の違う南北別々の国に分断されてしまったことだなとしみじみ思った。

8.7番房の奇跡 (2013)
7番房の奇跡

6歳の娘イェスンを演じた子役のカル・ソウォンちゃんがとにかく愛らしくて可愛い。
刑務所の中の話なのにいい人ばかりが出てくる心温まるお話。笑えて泣けます。

9.国際市場で会いましょう  (2014)

朝鮮戦争の混乱で避難の途中、妹マクスンと離ればなれになり、彼女を探しに行った父親も行方不明になってしまったドクスの家族。避難先のプサンに落ち着いてからは、父親に代わって長男のドクスが家長として家族をさせる。ドクスは弟の学費を捻出するために、西ドイツの炭鉱に出稼ぎに行き、末っ子の妹の結婚式の費用のためにベトナム戦争に志願する。涙と笑いに満ちたドクスの人生。
朝鮮戦争の興南の退却の場面は迫力があった。
https://haginori55.jp/blog-entry-75.html

10.パラサイト  (2019)
監督:ポン・ジュノ
主演:ソン・ガンホ。
韓国の貧富の差の大きさを感じた。

夫婦で安心して楽しめる作品 :      スポーツもの編

「夫婦で見て楽しめる映画、ぜひ教えてほしいです。」というコメントをいただいた。
嬉しい。
こういう反応をいただくと、俄然、それに答えたいと頑張ってしまいます。

Netflix、Amazonプライム、U-nextが普及した今、視聴可能な作品数も豊富になり、見ようと思った作品を検索すればだいたいの作品がヒットする。必要なのは何を見たらよいのかを選択するための情報だと思う。
そして、こういう時、頼りになるのが映画好きの友人のネットワーク。
「夫婦で安心して楽しめる作品」で、おすすめのものはあるか?と聞いたら、さっそく「スポーツものがいい。」という返答をもらった。

「なるほど。」

「夫婦で」と限定することもないのだが、あえてそれを入れたのは、一人で勝手に見る分には、その作品が重くても、暗くても、面白くなくても、自分のなかで消化できるのだが、だれかと一緒に映画を見るという条件をつけると、「楽しく安心して」という要素が加わると思ったからだ。面白くなかったりすると、選んだ相手に文句が言いたくなり、下手をすると喧嘩になるからね。

友人たちが挙げてくれたのは、「ラッシュ」や「クール・ランニング」など。
さらに、ネットで、「スポーツもの 映画」というキーワードで検索したら、『映画ランキング専門サイト』の「スポーツ系の実話をもとにした映画ランキング」という記事がヒットした。非常に参考になった。
いくつかは見ていたけれど、「スポーツもの」をあまり見ていなかったことに気づいた。
そして、この数日間、「スポーツもの」を見まくった。
以下、私の中でのランキングです。

1.『ラッシュ/プライドと友情』(2013年)
ラッシュ/プライドと友情

この作品を1位に挙げるとは、私自身も全く意外なのですが、良かったのです。
実は私は、ペーパードライバーで運転はまるでだめ、車にまるで興味がなく,車種の識別も全くできなくて、F1にも興味はないという人間です。勧められたので、なんとなく漫然と見ていたのですが、後半からラストにかけて、グッと来てしまいました。
ライバル関係にあったジェームズ・ハントニキ・ラウダ。ライバルがいたからこそ、お互いを高めあえた。そして、スタイルも価値観も全く異なる2人が、それぞれに大切にしているものがあり、生き方を選択していくところが素晴らしい。
なにより、F1好きの方は、レースの迫力に浸ることで満足できる作品だと思います。

2.『ルディ/涙のウイニングラン』(1993年)
ルディ

才能・体格・大学に進学する学力・経済力、これらのことに全く恵まれなかった主人公が、努力と熱意だけで夢を実現する。
そんなの無理だといいたくなるけれど、これも実話。
そしてやっぱりラストは感動的。


3.『タイタンズを忘れない』(2000年)
タイタンズを忘れない

1971年のバージニア州アレクサンドリア。公民権法成立(1964)後とは言え、まだまだ黒人への差別感情が根強い時代、州立高校で白人・黒人混合の高校フットボールチームができる。コーチのハーマン・ブーン(デンセル・ワシントン)のもと、最初は対立していた白人・黒人の選手たちが次第に協調していく。
そんなにうまく行くか、といいたくなるけれど、これも実話。スポーツの力は大きいのだ。まずは会話をしてお互いを知ることから始めようとしたブーンの指導力はさすがだし、リーダー格のゲーリーをはじめ、みんないいやつだな。


4.『ダンガル きっと、つよくなる 』(2016年のインド映画)
danngaru.jpg

インド映画は楽しい。
自分の娘をレスリング選手として世界大会で勝たせるまでに鍛え上げるお父さんマハヴィルにアーミル・カーン。(「きっと、うまくいく」の主役)。
レスリングは日本のお家芸であり、オリンピックでの吉田沙保里選手の試合などを何度も見てきているので、なじみのあるスポーツだが、この作品を見ていると得点や技について理解が深まる。この父と娘たちの関係を見ていたらアニマル浜口と浜口京子の父娘のことを思った。はたから見ているとあんな父親ではたまったものではないと思いがちだが、他人にはわからない深い愛情に支えられた絆があるのだろう。この父娘も素敵だった。

5.『クール・ランニング』(1993年)
クール・ランニング

南国ジャマイカが冬季オリンピックのボブスレーに出場。この設定を考えただけでも楽しくなる。1988年のカナダ・カルガリー大会に実際に出場したジャマイカ・チームの話をもとに作られた作品で、登場人物はすべて架空だそうだが、とにかく楽しい。
フィクションとはいえ、4人の選手の出場の動機にも、ラストにも納得。

6.『インビクタス/負けざる者たち』(2009年)
インビクタス

大統領になってからのネルソン・マンデラを描いたもので、前半は白人と黒人の和解を進めようとするネルソン・マンデラの取り組み。後半はまさにスポーツもの。
1995年に南アフリカで開催されたラグビー・ワールドカップ。イケイケどんどんで、南アフリカチームが勝ち進む。楽しい。
マンデラにモーガン・フリーマン。ラグビーチームのスプリングボクスの主将ピナールにマット・デイモン

7.『幸せの隠れ場所』(2009年)
幸せの隠れ場所

貧困地区で育ち、ホームレス状態だったマイケル・オアーと、彼を支え育てたリー・アン(サンドラ・ブロック)とその家族の交流。フットボールのゲームの進め方も知らなかったマイケルが、リー・アンの援助のもと一流のフットボール選手に成長していく。そして、マイケルとリー・アンの家族は大の仲良し。そんなにうまくいくかといいたくなるが、これも実話。

[脱出モノ」ベストの続き

先日のブログで『私の中での「脱出モノ」ベスト』を書いたら、いくつか反応をいただいた。
脱獄系では、S.マックウィーンの『パピヨン』(73年)もいいぞ、ニコラス・ケイジ、ショーン・コネリーの『ザ・ロック』(96年)はどうだ、邦題はひどいけれどポール・ニューマンの『暴力脱獄』(67年)というのも面白いぞ、脱出系ではやはり『ダイ・ハード』(88年)だろう、というご意見をいただいた。
「海外TVドラマの『プリズン・ブレーク』のシリーズがAmazonプライムで見られるよ。」など、情報をいろいろ寄せていただけるのは、ブログを書いているものにとって、とても嬉しいことです。

あくまでも個人の好みで「作品ベスト」を選んでいるので、偏りがあることはお許しいただきたいのだが、こうしたリストを作ると、「なぜこの作品が入らないのだ。」というご意見もいただき、自分の守備範囲を広くするための参考になります。

以前、『私の中でのトム・ハンクス作品ベスト』を書きました。
https://haginori55.jp/blog-entry-110.html
私としては戦争映画の最高傑作であると思う『プライベート・ライアン』がベスト1であり、そのあとトム・ハンクスが主演男優賞を勝ち取った『フォレスト・ガンプ』、『フィラデルフィア』となり、その後も社会派の作品がつづくのですが、やはり、ブログを読んでくださった方は、自分の好みの作品が入っていないと、一言いいたくなるらしいです。
それもまた、私にとっては嬉しいことなのです。
トム・ハンクスについては、初期の『ビッグ』などのコメディ作品のころからのファンの方もいらっしゃるし、『めぐり逢えたら』(Sleep in Seattle)、『ユー・ガット・メール』のようなラブ・ストーリーが好きだ、『ダ・ヴィンチ・コード』『天使と悪魔』『インフェルノ』のラングドン教授シリーズのような娯楽作品が好みだ、という方のご意見もいただきました。2020年の『この茫漠たる荒野で』もよかったぞ、というのも教えていただいてはいるのですが、すみません、いろいろ溜まっていて、まだ、見ていません。

楽しいので、これからも勝手なランキングを作ってみようと思っています。
考えているテーマはいくつかあるので、そのうちまとめます。
そして、最近、気が付いたことがあります。
我が家は、夫婦一緒に映画館で見ることは少なく(それぞれの都合と好みがあるので勝手に行きます。昨日も「ノマドランド」を一人で見てきました。)、また、配信されたものを家のTV画面で見るときも別々のことが多い(夫は夜型、私は朝型)のですが、『ダイ・ハード』シリーズや、トム・ハンクスのラングドン教授シリーズは夫婦で一緒に見ているのです。そして、「面白かった」という感想を共有しあえています。
というわけで、「夫婦で安心して楽しめる作品ベスト」というランキングもいいかな、などと考えているところです。

私の中での「脱出モノ」ベスト

映画好きの夫の友人Kさんから「マイ・ベスト・ワースト」という映画のリストを送ってもらい、さらにKさんの先輩Sさんの「映画日誌」なる小冊子を送ってもらった。
KさんもSさんも年間に見る作品の本数が半端ない。とても追いつかないと思いながらも、見たいと思う作品が満載のリストをながめて楽しんでいる。
そのSさんの「映画日誌」に「脱出モノにはずれなし」「法廷モノにはずれなし」という言葉があり、まさに「同感!」と思った。
それならば、自分なりの「脱出モノ」「法廷モノ」のランキングを作ってみようと思いついた。

まずは、「脱出モノ」から。
自分のブログの過去記事をたどってみると、「脱出モノは私の好きなジャンル」と書いているものがいくつかあった。
今回はそのまとめ整理です。
ブログの過去記事については,それぞれの作品の下にURLを付しておきましたので、そちらも参考にしていただけたら嬉しいです。
1と4は「私の好きな映画10選」という過去記事で書きました。
https://haginori55.jp/blog-entry-63.html


1.ショーシャンクの空に
1994年のアメリカ映画
ショーシャンクの空に

これぞ、脱獄モノの最高傑作!
やはり、脱獄の方法はこれしかないかも。

 ストーリーの展開は激動で、途中、「えっ!」「えっ!」の連続なのに、淡々とした描き方で映画は進行していき、そして、見終わった後、なんだかわからない感動がジワッときた。見た翌日もそのまた翌日もいろいろな場面を思い出しては、「よかったな。」などとつぶやいて、作品の余韻に浸った。
無実の罪で投獄された主人公アンディ(ティム・ロビンス)が脱獄をはかるものなのだが、モンテクリスト伯のようなドロドロとした復讐劇ではない。主人公はあまりにも理不尽な運命にさらされるのだが、感情的になって悲嘆したり、絶望したりはせず、淡々とした態度をとりつつ、しかし諦めずに打開の方法を見出していった。
彼の粘り強さ、不屈の魂に圧倒される。人間とは強いものなのだ、そして人間の心は自由であるべきなのだ、と思った。
私は自分の状況があまり良くないとき、この作品のことを思い出してみる。そして、アンディの忍耐強さのことを頭に浮かべる。すると、なんだか励まされる。


2.大脱走
1963年のアメリカ映画。(今から60年近く前の作品。)
1960~70年代のトップスター、スティーブ・マックイーンの代表作でもある。
大脱走


第二次世界大戦中、ドイツ北部の捕虜収容所から連合軍の捕虜200~300名がトンネルを掘って脱出し、ドイツ中に拡散するという大脱走を企てる。
目的は脱走捕虜の収容のためにドイツ軍に労力をかけさせること。
前線で戦えない捕虜にとって、脱走によって敵の後方を攪乱するのは任務でもある。
収容所を脱出したメンバーは、自転車やバイクを盗んで逃走したり、川に出てボートに乗ったりとそれぞれの逃走劇をくり広げる。
明るい曲調の「大脱走のマーチ」にものせられて、捕虜たちの逃走を応援してしまう。
https://haginori55.jp/blog-entry-24.html

3.アルゴ
2012年のアメリカ映画。
ベン・アフレック監督・主演
1979年のイランでおこったアメリカ大使館人質事件を舞台とした作品。
ベン・アフレック


親米路線をとっていたパフレヴィー王がイラン革命により倒されアメリカに亡命した。イランの民衆の国王への反発は、アメリカへの憎悪の感情にまで発展し、人々は群衆となってアメリカ大使館前に押し寄せる。憎悪の感情を抱えた大勢の人によるエネルギーは恐ろしいほどだ。
この事件ではアメリカ外交官や海兵隊員とその家族計52人が人質となり、拘束された。解放されたのは事件発生から444日後のことであった。
事件発生の直前、間一髪でアメリカ大使館から抜け出したアメリカ外交官6名がいた。彼らはカナダ大使公邸に逃げ込み、かくまわれる。
この6名のイランからの脱出を描いたのがこの作品。
「脱出モノにはずれなし」の言葉通り、飛行機が離陸するまでハラハラ・ドキドキの連続だった。
途中、子供を使ってシュレッダーにかけられた6人の顔写真を復元してしまうシーンがある。ジグソーパズル1000ピースも完成する自信のない私としては、ここまでやるかと恐怖すら感じた。
https://haginori55.jp/blog-entry-23.html

4.キリング・フィールド
1984年のアメリカ・イギリス合作映画。
キリング・フィールド

カンボジアは1976~79年の4年間、ポル・ポト政権下で信じられないような滅茶苦茶な政策が行われた。知識人は弾圧され、農村で強制労働をさせられた。
この作品は、アメリカ人新聞記者シャンバーグとカンボジア人通訳のディス・プランの友情の物語。アメリカ軍の撤退とともにシャンバーグがディス・プランをつれてアメリカに戻ろうとするときのハラハラが前半のヤマ。偽造パスポートで何とかディス・プランを出国させたかったけれど、証明写真がうまく製造できない...。
後半は、カンボジアに残ったディス・プランが、ポル・ポト政権下の農村で、理不尽としか言いようのない環境のもとで生き抜いていく様子。ポル・ポト政権下では教師やジャーナリスト・通訳などのいわゆる知識人は弾圧の対象。ディス・プランは前職が何であったかを問われる誘導尋問もすり抜けて、農作業をしながら脱出のチャンスを狙う。そしてそこからの脱出劇。
ラスト。タイ国境にまで逃げ延びたプランが、新聞記者のシャンバーグとの再会を果たした時に流れるジョン・レノンの「イマジン」で、ボロボロに泣けてしまう。

5.遠い夜明け
1987年のイギリス映画
監督:リチャード・アッテンボロー
アパルトヘイトが行われていた1970年代の南アフリカを舞台とした作品。
遠い夜明け

前半は黒人解放活動家ビコ(デンセル・ワシントンン)と白人記者ドナルド・ウッズの交友。
ビコは知的で魅力的な人物。演説のうまさ、説得力、さわやかな笑顔。リーダーたりうる素養をもっている。白人社会を壊そうとは言っていない。白人と黒人が平等な南アフリカを作りたいのだと。そして、警察が行う暴力をやめさせたいのだ。
しかし、ビコは拘禁され、獄中での暴力が原因で死去。
ウッズは、ビコの死を調査し、それを公表しようとするが、政府、警察はそれを阻止する。南アフリカの現状を世界に訴えようとするウッズは亡命を決意。彼の行動を監視する警察。ここからは、ウッズと家族の脱出劇。
ウッズはまず南アフリカに囲まれた内陸国レソトに逃げ込み、家族と待ち合わせ、そこから飛行機でボツワナへ行く計画をたてる。
しかし、レソトからボツワナへは、南アフリカ上空を通過しなければ到達できない。
上空を飛んだら強制着陸させる、と脅す南ア政府。
「脱出モノにはずれなし」の言葉通り、ハラハラ・ドキドキの連続。

ラスト。飛行機のなかのウッズは、万感の思いで南アフリカの国土を上空から眺める。
ここで流れる「神よ、アフリカに祝福を」という曲が美しくてボロボロに泣いてしまう。
(この曲と「南アフリカの呼び声」という2曲と合わせて編曲したものを、1997年にネルソン・マンデラが南アフリカの国歌として制定した。)

エンディングでは、美しい南アの風景の映像の下に、拘置中に死亡した者の名前と死因が字幕で延々と流れる。
その数の多さ。明らかに嘘であろうと思われる死因。
(首つり自殺、転落死、転倒死...。そんなはずはない。獄中での暴力によるものでしょう。)
https://haginori55.jp/blog-entry-18.html

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以上、私の中での「脱出モノ」ベスト5をあげてみました。
「ショーシャンク・・」以外は、すべて歴史的な背景があります。戦争、革命、信じられないような悪政、差別と弾圧。それを描いた作品であり、脱出劇を盛り込むことで、見ているものを飽きさせない展開になっています。
少々&かなり古い作品ばかりになってしまいましたが、どれも素晴らしい作品だと思います。
プロフィール

萩谷功枝

Author:萩谷功枝
世界史教師をしています。

映画や本の紹介、最新のニュースから感じたこと、など自分の日常を通して、世界史のことを考えていけたらと思います。

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