13th 憲法修正第13条

13th.jpg


合衆国憲法修正13条
 奴隷制もしくは自発的でない隷属は、アメリカ合衆国内およびそのほうが及ぶいかなる場所でも、存在してはならない。ただし犯罪者であって関連する者が正当と認めた場合の罰とするときを除く。


合衆国憲法修正第13条は奴隷的拘束の禁止を規定している。
すべてのアメリカ人に自由を保障している。
だが例外がある。
犯罪者は適用外だ。
抜け穴となる言葉がる。
「犯罪者への処罰を除く。」
憲法の文言に抜け穴が埋め込まれていれば、目的は何であれ、都合よくつかわれるだろう。



南北戦争後、400万人いた奴隷が解放された。
南部の経済は破綻した。
経済再建はどうする?

修正第13条の抜け穴が利用され、大量の黒人が微罪で逮捕され受刑者となり、南部を立て直す労働力として使われた。

黒人は犯罪者だというイメージが急速に広まった。
しかし、ひどい逮捕に対する批判が高まると、合法的な手段に出た。
ジム・クロウ法と総称される、南部の各州の黒人差別の法律だ。
ホテルもレストランもトイレもバスも、白人か有色人種かで利用を区別された。
(法律があれば、たとえ白人専用のトイレを使用したとしても法律違反だ。)

そうした差別を撤廃させる運動が盛り上がり、1964年、ついに公民権法が成立した
しかし、困ったことに、公民権法成立と時期を同じくして犯罪率が上がり始めた。
急激な人口の増加で、当然、犯罪数も増えるものだが、
公民権運動のせいで犯罪率が増えたという考えも出てきた
「もし、黒人に自由を与えたら、その代償として犯罪行為が増えるだけ。」

アメリカの受刑者数は20世紀に入ってからほぼ横ばいであったが、
1970年代になるといわゆる「大量投獄」の時代が始まり、受刑者数が爆発的に増えていった。

1980年代初期、クラック・コカインという安価な麻薬が黒人たちの間に広まった。
麻薬は当然取り締まらなければいけないものであるが、黒人の間に広まっていることで、クラックに関する刑罰を不当に重いものにした。
クラック所持で終身刑。
大量の黒人が刑務所に送られた。
受刑者の数を爆発的に増やした。

麻薬との闘いは警察の横暴を許した
腹ばいの黒人に警官の銃が向けられた。


アメリカの受刑者数
1985年  75万9100人
1990年  117万9200人
2000年  201万5300人
2014年  230万6200人

アメリカの全人口のうち黒人男性は 6.5%
     全受刑者のうち黒人男性が40.2%

一生のうち投獄される可能性は
        白人男性は17人に1人。
        黒人男性は 3人に1人が生涯のうち一度は投獄される。


受刑者の数が膨大になったことに伴って、
1983年に初の刑務所運営会社CCAが設立された。
刑務所産業が成長産業になってしまった。
受刑者の安定供給によって生み出された莫大な利益は株主の懐に入る。
人を罰することで巨万の富を得ている全米一の民間矯正施設だ。

1973年に設立されたALEC(米国立法取引協議会)という保守系の政治活動団体は、
企業が最も有益となる法案を起草する団体である。
ALECを通してCCAは犯罪政策に影響を及ぼした。
刑務所の民営化だけでなく受刑者を増やした。

大量投獄が問題とならないのは、それが刑務所ビジネスに利益を生むから。
外国の低賃金労働は非難の的だが、アメリカ国内で同じことが行われている。
無賃金労働をさせて儲かる会社が存在する。
巨額の金が動き、大勢の議員が支持している。
簡単には手が付けられない。

時代とともに、形態は変化しても実態は同じ。
犯罪者は国の奴隷。
奴隷制が終わると受刑者の貸出制度が作られた。
これが非難されると、法律による人種隔離制度が生み出された。
公民権法成立で、これが廃止されると、大量投獄の時代がやってきた。


アメリカで司法機関が黒人の見方だったことは一瞬たりともなかった。
警官による不当な扱いについて、黒人の不満を無視することは完全な間違いだ。
人種問題や歴史的背景に無知なままでいては、黒人と警察の関係について議論できない。

数世紀にわたる歴史的経過があるのだから、それを踏まえずには解決しない。

BLMは特定のリーダーも拠点も存在しない活動だ。
社会現象だから拳銃で止めることはできない。
そこに希望がある。


*************

以上、映画の字幕を静止画面にして書き写し、まとめてみました。
時間がかかりましたが、とても勉強になりました。

作品の前半で、「国民の創生」という南北戦争とその後の世界を描いた映画が登場しました。
この映画では、黒人はレイプ魔だというイメージを作り上げ、これと闘うKKKを神秘的・英雄的に描きました
この映画により、KKKは復活し、人気を博すようになりました。
悪名高い反黒人組織のKKKが一時会員500万人というのが信じられなかったけれど、こういう映画の影響があったのだとわかりました。

ということは。
「国民の創生」という映画がそれだけの影響を当時の人々に与えたのなら、差別を批判する映画にも、人々の意識を変える力があるはず。

地味なドキュメンタリー映画でしたが、知らなかった多くのことを知ることができました。
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

萩谷功枝

Author:萩谷功枝
世界史教師をしています。

映画や本の紹介、最新のニュースから感じたこと、など自分の日常を通して、世界史のことを考えていけたらと思います。

最新記事
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

検索フォーム
リンク
QRコード
QR