1917 命をかけた伝令

命を懸けた伝令1917 


2019年制作のイギリス・アメリカの戦争映画。
1917年4月6日とその翌日の2日間というきわめて短い期間の出来事を描いた作品である。

第一次世界大戦中の西部戦線では、イギリスを中心とする連合軍とドイツ軍が激しい戦闘を展開していた。そしてイギリス軍は、撤退したドイツ軍をさらに追撃する作戦をたてていた。しかし、ドイツ軍の撤退はイギリス軍を呼び込むための作戦だった。
イギリス軍が突撃したら、それを待ち受けて配備されている多勢のドイツ軍によって壊滅的な被害を受けることになる。
航空写真からドイツ軍の作戦に気づいたイギリス陸軍司令部は、攻撃を中止させる指令を現地の第2大隊に伝えたいのだが、電話線が切られていて連絡が取れない。
そして若きイギリス兵のブレイクとスコフィールドに、現地の第2連隊に攻撃中止の指令を伝えるという任務が下される
攻撃は翌日遂行される予定であるから、何としてもそれまでにこの情報伝えなくてはならない。
第2連隊1600人の命がこの2人にかかることになる。

この映画の見どころは、撮影技術の素晴らしさ
カメラはひたすらブレイクとスコフィールドの動きを追い続け、まるで、長回しを続けたワンカットの映像のように見える。
(実際はCGを使ってつなぎ合わせているとのことだが。)
この手法によって、見ている側は、兵士の立場に立ってストーリーを追うことができる。
2人はドイツ軍が撤退し、死体がころがっている沼地や平原を進み続ける。
「無人地帯」はどこに危険が潜んでいるかわからない。
住民が去り廃墟となった市街地にも残存しているドイツ兵がいる。
どこからドイツ兵の銃弾が飛んでくるかわからない。
相棒に死なれ、一人になってしまったスコフィールドに、死と隣り合わせのピンチが何度もおとずれる。
しかし、どんな危険が待ち受けていようが、彼は突き進む。
作戦中止の指令を伝えるという任務を遂行するために。
1600人の命を守るために。

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とにかくわかりやすい。
一兵士スコフィールドに焦点をあて、彼の動きとともに時間が経過していく。
場面の切り替えがない。時間が遡ったり、現在に戻ったりという複雑な構成もない。
カメラはひたすらスコフィールドの動きを追う。

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この作品は事実に基づいたフィクションで、主人公は架空の人物であるというが、元兵士の体験をもとに作られているので、実際に作品で描かれているスコフィールドのような兵士がいたのだと思う。
命をかけた彼の行動は感動ものだ。

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この作品を見ると、第一次世界大戦がどのような戦いであったのかがよくわかる。

高校世界史の教科書的に説明すると、第一次世界大戦はそれまで人類が経験したことのない規模の「大戦争」であり、戦場での軍隊と軍隊の戦闘だけでなく、全国民を巻き込んで補給体制を整えていくことが勝敗にかかわるという「総力戦」だった。使われて新兵器としては、飛行機、戦車、毒ガスが挙げられる。
そして、この作品を見て、あらためて認識させられるのは、第一次世界大戦が塹壕戦だったということだ
1分間に数百発以上のもの弾丸を打ち出すことのできる機関銃が兵器として普及したことで、その攻撃から身を守るための塹壕が掘られた。
成人男性がすっぽり隠れるほどの深さの塹壕が掘りめぐらされる。
ネットで調べたところ、西部戦線に縦横無尽に彫りめぐらされた塹壕は、スイス国境からイギリス海峡まで到達し、爆弾の被害を食い止めるためにわざとくねくねと曲がり角を作って掘ったので、総距離は数千キロに及ぶという。
なんという労力だろう。
敵の侵攻を食い止めるための、必要不可欠の構築物だったわけだが、戦争がなければこんなものを作る必要がなかったわけで、そこにかけられた労力のことを考えるとむなしい。

この作品の撮影のために作られた塹壕は、かなりリアルに作られている。
興行収益が上がれば元は取れるのだろうけれど、スコフィールドがマッケンジー大佐を探して塹壕を走り回るシーンを見ただけでも、どれだけの長さの塹壕を撮影のために掘ったのかなと思ってしまう。

お金をかけた作品。そして、第一次世界大戦を描いた秀作。


※無人地帯・・連合軍側・ドイツ軍側の両陣営の塹壕陣地の中間地帯
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プロフィール

萩谷功枝

Author:萩谷功枝
世界史教師をしています。

映画や本の紹介、最新のニュースから感じたこと、など自分の日常を通して、世界史のことを考えていけたらと思います。

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