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『オペレーション ミンスミート -ナチを欺いた死体-』

オペレーション ミンスミート


2022年のイギリス映画
監督:ジョン・マッデン
出演:コリン・ファース
   マシュー・マクファーデン

タイトルのカタカナ部分からはアクション系かアドベンチャー系の作品を想像してしまったし、副題の「ナチ」・「死体」という語からはホロコースト系のユダヤ人虐殺をテーマにした暗い作品かなと思ってしまったがまるで違った。

この作品は、第二次世界大戦中、シチリア侵攻を成功させるために、連合国軍の反攻予定地はシチリアではなくギリシアであるとナチス・ドイツに思い込ませるために仕組んだ欺瞞作戦「ミンスミート作戦」を描いた作品である。

***************

1943年7月、連合国軍はシチリア上陸を成功させ、さらにイタリア本土上陸を果たした。これにより、ムッソリーニは失脚し、イタリアは連合国への無条件降伏をした。
この連合国軍のシチリア上陸成功の陰には「ミンスミート作戦」があった。

「ミンスミート作戦」は敵を騙すために仕組まれた綿密な作戦である。
戦略上、地中海での戦局を有利にするためには連合国軍側がシチリア上陸を狙うであろうことは十分予測できたから、ナチス・ドイツ側もそこに大量の軍を配備して沿岸地帯を固めていた。
連合軍側としてはそれを何とか分散したい。
そこでイギリス諜報部(MI5)が仕組んだのがこの作戦。
「連合国軍がギリシア上陸を計画している」というニセの機密文書をもった死体を中立国スペインの海岸に流れ着かせる。海岸の漁師たちが引き揚げた死体の持っていたカバンからニセ情報が発見され、その内容が、ドイツ側に伝わり、ドイツ側がそれを信じれば、この作戦は成功となる。
しかし、ドイツ側もその情報をやすやすと信じるはずはなく、その真偽を厳密に確認するだろう。当然、情報を携えていた死体がどういう人物であったのかまで特定しようとするだろう。そのために本当はホームレスだった死体の人物に「マーティン少佐」という架空の人格を作り上げ、その実在の真実味を増すために、パムという恋人まで作り上げる。そして彼のカバンには実在しないパムの写真や手紙までもが入れられていた。

敵を欺くというのは大変なことなのだと思った。

この作戦が成功すれば何十万もの兵士の命が救われる。逆にこの計画が相手に漏れて、ドイツ軍の迎え討ちに会ったら何十万もの兵士の命を失うことになる。

人の命がかかっているのだ。

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計画の中心となったユーエン・モンタギュー少佐を演じたのは、『英国王のスピーチ』でジョージ6世を演じたコリン・ファース

劇中、タイプライターで経過を記録していて、ラストで「何を書いているんだ?」という問いに「スパイ小説さ」と答えたのは、『007』シリーズの原作者イアン・フレミングという設定は素敵だ。(実際には、フレミングは英海軍情報部には所属していたが、「ミンスミート作戦」には直接関与はしていないらしい。)

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終盤にテディなる人物が出てきて、彼がドイツ側の人間だとわかった時、「ミンスミート作戦」がウソ情報であることがドイツ側にバレてしまうのではないかとハラハラしたが、彼曰く、「ドイツにも反ナチの人間がいる。」といったのが印象的だった。

もしかすると、ニセ情報だとわかっていたのに、敢えてそれを受け入れたドイツ側の人物がいたかもしれない。
ドイツ側にもこの戦争はおかしい、早くやめさせなければ、と考えていた人たちは確かにいたのだ。
ヒトラー暗殺計画はすべて失敗し、かかわったものはすべて処刑されてしまったけれど。

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そして今。
2022年2月24日、ロシアがウクライナ侵攻を開始した。
すでにウクライナ側では子供を含む何百人もの死者が出ている。

世界中がこんなことはあってはならないと、プーチンを非難している。

反政府勢力に対する取り締まりが厳しいロシアで反プーチンを掲げることは身の危険につながる。
しかし、身の危険を感じつつも、プーチン批判を掲げるロシア国民の動きが大きくなっている。
国民の支持を失えば、プーチンだって独裁を続けられない。
この動きが大きなうねりになって、プーチンの動きが抑えられるようになればよい。

そのために、世界の中の一市民として、反戦と反プーチンの姿勢を示し、ウクライナ支援をしたいと思う。

軍事力により、隣国の侵略を行っているプーチンの動きを止めることができますように。


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