TOHOシネマズ系などの映画館で、「午前10時の映画祭」という企画を組んでいて、一年間にわたり、過去の名作を2週間ずつ上映してくれている。
田舎育ちで映画館に行くチャンスも少なく、さらに1980年代90年代は子育て中で、映画館にほとんど行くことなかった私にとって、この企画はありがたい。
今になって、見ておきたかった名作に触れ、自分に欠落していた体験を埋めているところである。
しかし。
制作された時代から何十年ものタイムラグがあり、公開当時の熱狂も評判も話題性もすでにない。
しかも、恋愛とは程遠い平穏な日常を送っている高齢者の私自身には、劇中の登場人物の織り成すラブストーリーにドキドキと心をときめかすような感受性がすでにない。
(残念なことだが、仕方ない。)
***

3月の1週目~2週目は、『イングリッシュ・ペイシェント』だった。
1996年のアメリカ映画。
アカデミー作品賞・監督賞など主要部門を独占受賞したこの映画のタイトルはよく耳にしていたけれど、私は見ていなくて、内容についても全く知らなかった。
で、とにかく見に行ってきた。
平日の午前10時。すいていて快適。観客は多分3人だけだったと思う。
2時間42分の長尺。
どういうストーリーか知らなかったので、見始めたときに、だれが主役なのかもわからず、登場人物を把握するために、かなり真剣に画面に集中した。
***********************
第二次世界大戦中、撃墜されたイギリスの飛行機から、全身に火傷を負って助けられた男を介護する看護師ハナ。
このイギリス人の患者は誰で、この男の過去にいったい何があったのか?
ハナの場面と、この男の過去の場面が交互に展開する。
********************
見終わって、何を感じたか。
印象に残ったのが、過去バージョンの舞台である砂漠の広さと過酷な自然。
一夜でジープを埋め尽くしてしまうほどの砂嵐。皮膚を焼き尽くすような強い日差し。
ジープや飛行機などの移動手段を失ったら、歩いて救援を求めるために数日も要するという砂漠の広さ。
壮大な砂漠。泳ぐ人が描かれた壁画のある洞窟。
それらの映像が強く印象に残った。
しかし、ストーリーを振り返って考えてみると、結局、この作品は「不倫が招いた悲劇」を描いた作品だ、としか思えなかった。
****
こんな感想を持つ自分が少々悲しい。
***************
最近見た作品でも、同様の現象が自分の中に生じている。
「ウエストサイド・ストーリー」は、突き詰めれば、不良グループの元リーダーが、敵対するもう一方の不良グループのリーダーの妹に一目ぼれをしてしまい、そしてそれを貫こうとしたことにより、悲劇を巻き起こしてしまったのだと思ってしまう。
恋愛至上主義の価値観を持っていれば、トニーとマリアの恋を成就させるべく応援するのだろうが、私が彼らに関わっていたら、「ろくなことにならないから頭を冷やせ。」というアドバイスをしてしまうだろう。
数日前に見た「クレッシェンド」は、テーマも展開も、私の好きな作品であったし、オマルとシーラが恋に落ちてしまったのも、3週間の合宿の中での出来事を考えれば仕方のないことだと思うけれど、イスラエルとパレスチナという敵対するグループに所属している者同士なら、あの場からの駆け落ちではなく、時間をかけて他国への移住とか、もっと落ち着いて方法を考えようよ、とかと思ってしまう。どうせ家族の賛成は得られないだろうけれど。
**
映画「卒業」では、キャサリン・ロスを略奪するダスティン・ホフマンのことより、結婚式の場で花嫁を奪われて残されてしまった花婿の気持ちを心配してしまう。
「ドクトル・ジバゴ」では、ジバゴと美しいラーラのことよりも、ジバゴに去られてしまった後の妻のトーニャのことが気になってしまう。
不倫はいかん、略奪婚はいかん。結婚するなら、周囲の理解を得たほうが良い。
とかと、考えてしまう自分自身を、「つっまんねー奴だなぁ」とは思う。
****************
しかし。
そんな私が、「これぞ不朽の名作!」としてあげたい作品がある。
「ひまわり」だ。

愛する人の幸せのために身を引いたソフィア・ローレンが、飛び乗った汽車で悲しみに耐えている表情が忘れられない。
ウクライナの地に広がるひまわり畑。あんな美しい映像があるだろうかと思う。
1970年の作品。50年以上たっても、この作品の記憶は色あせていない。
*******************
今、またこの作品を見てみたいと思い、ネットで調べたら、
「侵攻が続くウクライナに思いを馳せる名作「ひまわり」緊急公開。収益の一部を寄付」という記事が載っていた。
ただし、4月からで、上映劇場が、横浜、新潟、大阪なので、ちょっと無理かな。
今すぐなら、U-NEXTで見られるようだ。
田舎育ちで映画館に行くチャンスも少なく、さらに1980年代90年代は子育て中で、映画館にほとんど行くことなかった私にとって、この企画はありがたい。
今になって、見ておきたかった名作に触れ、自分に欠落していた体験を埋めているところである。
しかし。
制作された時代から何十年ものタイムラグがあり、公開当時の熱狂も評判も話題性もすでにない。
しかも、恋愛とは程遠い平穏な日常を送っている高齢者の私自身には、劇中の登場人物の織り成すラブストーリーにドキドキと心をときめかすような感受性がすでにない。
(残念なことだが、仕方ない。)
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3月の1週目~2週目は、『イングリッシュ・ペイシェント』だった。
1996年のアメリカ映画。
アカデミー作品賞・監督賞など主要部門を独占受賞したこの映画のタイトルはよく耳にしていたけれど、私は見ていなくて、内容についても全く知らなかった。
で、とにかく見に行ってきた。
平日の午前10時。すいていて快適。観客は多分3人だけだったと思う。
2時間42分の長尺。
どういうストーリーか知らなかったので、見始めたときに、だれが主役なのかもわからず、登場人物を把握するために、かなり真剣に画面に集中した。
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第二次世界大戦中、撃墜されたイギリスの飛行機から、全身に火傷を負って助けられた男を介護する看護師ハナ。
このイギリス人の患者は誰で、この男の過去にいったい何があったのか?
ハナの場面と、この男の過去の場面が交互に展開する。
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見終わって、何を感じたか。
印象に残ったのが、過去バージョンの舞台である砂漠の広さと過酷な自然。
一夜でジープを埋め尽くしてしまうほどの砂嵐。皮膚を焼き尽くすような強い日差し。
ジープや飛行機などの移動手段を失ったら、歩いて救援を求めるために数日も要するという砂漠の広さ。
壮大な砂漠。泳ぐ人が描かれた壁画のある洞窟。
それらの映像が強く印象に残った。
しかし、ストーリーを振り返って考えてみると、結局、この作品は「不倫が招いた悲劇」を描いた作品だ、としか思えなかった。
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こんな感想を持つ自分が少々悲しい。
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最近見た作品でも、同様の現象が自分の中に生じている。
「ウエストサイド・ストーリー」は、突き詰めれば、不良グループの元リーダーが、敵対するもう一方の不良グループのリーダーの妹に一目ぼれをしてしまい、そしてそれを貫こうとしたことにより、悲劇を巻き起こしてしまったのだと思ってしまう。
恋愛至上主義の価値観を持っていれば、トニーとマリアの恋を成就させるべく応援するのだろうが、私が彼らに関わっていたら、「ろくなことにならないから頭を冷やせ。」というアドバイスをしてしまうだろう。
数日前に見た「クレッシェンド」は、テーマも展開も、私の好きな作品であったし、オマルとシーラが恋に落ちてしまったのも、3週間の合宿の中での出来事を考えれば仕方のないことだと思うけれど、イスラエルとパレスチナという敵対するグループに所属している者同士なら、あの場からの駆け落ちではなく、時間をかけて他国への移住とか、もっと落ち着いて方法を考えようよ、とかと思ってしまう。どうせ家族の賛成は得られないだろうけれど。
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映画「卒業」では、キャサリン・ロスを略奪するダスティン・ホフマンのことより、結婚式の場で花嫁を奪われて残されてしまった花婿の気持ちを心配してしまう。
「ドクトル・ジバゴ」では、ジバゴと美しいラーラのことよりも、ジバゴに去られてしまった後の妻のトーニャのことが気になってしまう。
不倫はいかん、略奪婚はいかん。結婚するなら、周囲の理解を得たほうが良い。
とかと、考えてしまう自分自身を、「つっまんねー奴だなぁ」とは思う。
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しかし。
そんな私が、「これぞ不朽の名作!」としてあげたい作品がある。
「ひまわり」だ。

愛する人の幸せのために身を引いたソフィア・ローレンが、飛び乗った汽車で悲しみに耐えている表情が忘れられない。
ウクライナの地に広がるひまわり畑。あんな美しい映像があるだろうかと思う。
1970年の作品。50年以上たっても、この作品の記憶は色あせていない。
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今、またこの作品を見てみたいと思い、ネットで調べたら、
「侵攻が続くウクライナに思いを馳せる名作「ひまわり」緊急公開。収益の一部を寄付」という記事が載っていた。
ただし、4月からで、上映劇場が、横浜、新潟、大阪なので、ちょっと無理かな。
今すぐなら、U-NEXTで見られるようだ。
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