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世界史教師をしています。

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赤い闇 スターリンの冷たい台地で

ウクライナ関連の番組を見ていたら、ウクライナの人々の抵抗がこれほどまでに強い理由がよくわかる映画として『赤い闇 スターリンの冷たい台地で』という作品を紹介していた。

さっそく見てみた。(U-NEXT、Amazonプライムで見られます。)

衝撃の内容だった。

スターリン時代のウクライナでこのような悲惨なことが起こっていたなんて。

ソ連の発展のために、ウクライナを犠牲にしたスターリン。
このような過去を持っていたら、現在、ウクライナの人々が、ロシアの侵略に対して、一歩も引かず、命を懸けて戦おうとしているのが当然だと思えた。

赤い闇


『赤い闇 スターリンの冷たい台地で』
2019年のイギリス・ウクライナ・ポーランドの合作映画。

1933年、世界恐慌の影響で、世界中が経済の悪化に苦しんでいた。
そんな中、計画経済によって工業化を遂行するソ連は、資本主義世界との交流が少なく、世界恐慌の影響を受けずに、社会主義の建設を進めていた。

しかし、イギリス人記者ガレス・ジョーンズは、疑問に思う。
トラクター産業、自動車産業、戦車産業・・、ソ連は欧米並みの工業化を次々に達成していった。
その資金源はいったいどこから?
英国人の技師を雇う金、新設工場を建設する金は、どうやって捻出しているのだ?

ジョーンズは、スターリンにインタビューをしたいと思い、ソ連にわたる。
(そんなに簡単にできるわけがないのは当然なのだが、ヒトラーにインタビューしたことがあるという幸運な経験を持つ28歳の若きジョーンズは、楽観的に、モスクワに赴く。)

モスクワに到着したジョーンズは、記者の活動がモスクワに限定されていて、地方都市の視察ができないことを知る。

それでも、ジョーンズは無理やり、ウクライナに潜入する。
そして、彼が1933年のウクライナで見た光景は...。

赤い闇 ジョーンズ

*******

“穀物は金”
ソ連の資金源はウクライナの小麦だった。
自分たちの食べる分が何もないほど、ウクライナは生産した小麦を収奪されていた。

その惨さは餓死者が出るほどだった。

道端に倒れている人がいる。すでに死んでいる。
遺体を運ぶ荷車。
そのそばで泣いている小さな子供。
作業員は、その子も一緒に荷車に乗せた。

人々は、飢えと寒さで正気を失っていた。


*****

さらに、やることがひどいな、と思ったのは、その惨状を世界に伝えようとしたジョーンズとの駆け引きをするソ連の政府だ。
ジョーンズに対して、ソ連の豊かさ、経済がうまくいっているということを伝えれば、スパイ容疑で拘束している6人の英国人技術者を解放してやる。そうでない報道をしたら、6人の命はないという。

(こうやって、情報というのは操作されていくのか。)

イギリスに帰国したジョーンズは悩む。
そして、真実を伝えるべきであると決断する。
(幸いなことに、6人の技術者は無事、解放された。)

しかし、ソ連と癒着していたニューヨークタイムズのデュランティなる記者が、ソ連の経済発展を伝える記事を書いて、ピューリッツァー賞を獲っていた。

報道されていることの何が真実なのかを見極めるのが難しいのは、フェイクニュースに騙されるなと叫ばれている今に始まったことではないのだ。

******************

いろいろなことを知ることのできた作品でした。

2019年の作品。
制作した側は、この時、すでに危機感を感じていて、このような作品を作ったのだろうか。


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