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萩谷功枝

Author:萩谷功枝
世界史教師をしています。

映画や本の紹介、最新のニュースから感じたこと、など自分の日常を通して、世界史のことを考えていけたらと思います。

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今年のアカデミー作品賞ノミネート作品を見てみた

第96回アカデミー賞(2022年3月)の作品賞は『CODA/コーダ あいのうた』だった
『CODA』は配信サービス会社「AppleTV+」制作の作品で、同じく配信サービス会社Netflixの作品である『パワー・オブ・ザ・ドッグ』を抑えての受賞だった。
配信サービスとしては、Netflixが世界会員数2億2100万人を超えているのに対し、AppleTV+の会員数は約4000万人(その半数が無料体験中)で、今の時点ではNetflixが圧倒的に優位にある。会員数を増やすにはよい作品を制作するのが一番効果があるから、配信会社は金をかけて質の高い作品を制作する。会員限定でオリジナル作品を配信すれば、見たい人は会員になるしかないから。
今後、アカデミー賞の獲得競争もAppleTV∔、Netflix、Huluなどの配信会社の作品が増えていくのだろうと思う。

*******************

2021年は前年に引き続きコロナ感染の脅威にさらされた年だった。1年延期ののち東京オリンピックが開催された年だったけれど、感染者の数はこれで開催していいものかと心配になるほど増え続け、そんな影響から、私は自宅と仕事場を往復するだけの生活を送っていて、映画館に足を運んだのは、コロナ第5波がおさまり新規感染者が2桁になった10月を過ぎてからだった。結局、映画館で見たのは10月~12月に合計5本ほどで、あとはひたすら自宅のテレビで配信サービスを利用していた。

そして、2022年。
今年は映画を映画館で見まくることに決めた。


まずは、アカデミー作品賞にノミネートされた10作品を見てみることにした。
(リストアップされると、全部制覇したくなるのは性分か。)

『ドライブ・マイ・カー』
『ナイトメア・アリー』
『ドント・ルック・アップ』
『DUNE/デューン・砂の惑星』
『ベルファスト』
『リコリス・ピザ』(日本での公開は2022年7月)
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
『ウエストサイド・ストーリー』
『ドリーム・プラン』
『CODA/コーダ あいのうた』


アカデミー賞が発表された翌日(2022年3月29日)、『CODA/コーダ・あいのうた』を見てきた。
発表後なので、後出しジャンケン的ではあるが、私は10作品の中では『コーダ』と『ベルファスト』が好きだ。
この2つの作品に共通するテーマは家族。
以下、私の好きな順番で、見た作品の紹介をしてみる。(URLは私の過去記事です。)


1.『CODA/コーダ あいのうた』
コーダあいのうた

CODAとはChildren of Deaf Adultの略。
聾者である父と母、兄をもち、家族の中で一人だけ聴者である高校生のルビーは、手話通訳をして一家を支えている。漁業を営んでいる一家の家計は決して余裕があるとは言えず、ルビーの家庭環境は困難を抱えている。
ルビーの歌声が素晴らしいし、歌っている歌の歌詞がいい。でも家族はルビーの歌声を聞くことはできない。
ルビーの才能を見出してくれるV先生。めちゃくちゃ仲のいいお父さんとお母さん。いつも手話で妹と喧嘩ばかりしているけれど、妹のことを本当に思っていてくれているお兄ちゃん。登場人物も素敵。
そして、お兄ちゃんの言葉に涙。流れる音楽で涙。

2.『ベルファスト』
ベルファスト

冒頭の子供たちが路上で走り回って遊んでいる情景が印象的。しかし、平和だったベルファストの町が、一部のプロテスタント暴徒によるカトリック教徒の商店襲撃事件から、民族・宗教紛争を抱えた町に変わっていってしまった。
家族の愛情に恵まれてベルファストで育った9歳の少年バディ。お友達や大好きな女の子もいる大好きなベルファストの町。ここを離れるのはイヤだ。おじいちゃんが亡くなったばかりでおばあちゃんを一人、おいてはいけないよ。
悩む家族。さて、どうする?
https://haginori55.jp/blog-entry162.html

どちらも家族の愛情があふれている作品。
『コーダ』は障がい者と健常者の共生もテーマになっている。ラストで、魚市場で手話で漁師のおかみさんたち仲間と笑いながら仕事をしているお母さんの姿がいい。
『ベルファスト』では、宗教の違いなんて、本当は関係ないのだという、お父さんの考え方がいい。
社会の多様性が求められている今日、障がい者も健常者も、プロテスタントもカトリックも、理解しあって共生していこう、という考え方が感じられる作品。
だれもが共感できる優等生的な作品はつまらないという人もいるかもしれないけれど、私は、こういう作品が評価されることが素直に嬉しい。

3.『ドライブ・マイ・カー』
ドライブ・マイ・カー

アカデミー賞国際長編映画賞を受賞。この作品は好みがわかれると思う。決してわかりやすい作品ではなく、見終わった後にあれこれ考えさせられる。妻に死なれた演出家と不愛想な専属ドライバー。西島秀俊三浦透子がよかった。
https://haginori55.jp/blog-entry152.html

4.『ウエストサイド・ストーリー』
ウエストサイドストーリー

ミュージカルは楽しい。
https://haginori55.jp/blog-entry151.html

5.『ドリーム・プラン』
ドリーム・プラン
テニス選手のビーナス・ウィリアムズセリーナ・ウィリアムズを世界のトッププレーヤーに育て上げたお父さんでコーチのリチャード・ウィリアムズとその家族のストーリー。
ビーナスとセリーナは誰もが知るテニスプレーヤーだから、見る前からストーリーの展開は見当がついてしまうけれど、それでも見始めるとやはり面白い。スポーツもの、家族の愛情ものにハズレなし。
さらに、黒人差別に対するリチャードの毅然とした反発もいい。あえて白人のスポーツとされていたテニスに挑んできたところもいい。子供時代には過度な脚光やプレッシャーを与えないで育てようとする少々独善的ともいえる教育方針もいい。
まさにリチャードのドリーム・プランは実現したわけだけれど、プランがよかったのか、ビーナスとセリーヌに才能があったからなのか。

6.『ナイトメア・アリー』
ナイトメア・アリー

ストーリーの展開、ラストの「落ち」もよくできていて、面白い。映画は娯楽と考えている方に満足してもらえる作品。
時代は1941年。時期としては第二次世界大戦中ではあるが、戦場になっていないアメリカはそんなことは関係なく、田舎町にカーニバルが来て、原っぱに見世物小屋のテントを張って、客を呼び込んでいる。面白い見世物をやってなんぼ。獣のような人間、占い師...
どれもうさん臭くてインチキなのだけれど、見に来た人は興味津々。占いなんて、過去も未来もわかるわけないのだから、いかさまをやっているのが当たり前。それなのに、善良な人は信じてしまうのだな。そして高級ホテルのディナーショーにまで進出して、人気を得ていくスタン(ブラッドリー・クーパー)。中盤から心理学者として登場するケイト・ブランシェットがすごい。結局彼女が一番したたかだった。


7.『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
パワーオブザドッグ

ベネディクト・カンバーバッジは大好きな俳優なのですが、フィルという人物に感情移入ができなかった。弟の妻とその息子ピーターにたいして意地悪。この感情のゆがみを理解する鑑賞能力が私になかった。そしてこの母・息子とフィルの人間関係がどのように展開するかについて、まるで見当違いの予想をしてしまったのがいけなかった。ひ弱なピーターがたくましいフィルに影響を受けて成長していくというストーリーであるはずがなかった。
驚きのラストだった。
前半、長すぎ。

8.『ドント・ルック・アップ』
ドントルックアップ

彗星が半年後に地球に衝突する!この情報に対して、人々がどのような対応を示すかを描いたコメディ。天文学者のミンディ(レオナルド・ディカプリオ)とケイティ(ジェニファ・ローレンス)が地球滅亡の危機を必死に訴える。これに対して大統領(メリル・ストリープ)とテレビ番組のキャスター(ケイト・ブランシェット)の対応がひどすぎる。
地球が爆発して人類が滅亡するというレベルの危機なのだから、どうあがいても仕方がないともいえるけれど、何とかしようと対策するとか、まともに取り上げるとかしてほしい。選挙のことと番組の人気のことしか頭にないのか!
メリル・ストリープとケイト・ブランシェットは、クセのあるしたたかな憎まれ役をやらせたら、見事というほかない。ディカプリオが必死なだけに、彼女たちの危機感のないいい加減な対応に、コメディとわかっていながらも見ていてイラついた。ほんと、うますぎる。

9.『DUNE/デューン 砂の惑星』
U-NEXTで見ました。私の苦手なSFアドベンチャーです。
西暦1万190年という設定なので、今から8000年後?
人類が生き残っているとは想像できないけれど、この作品だと、宇宙帝国を支配する「皇帝」がいて、各惑星を大領家が治めている。アトレイデス家とかハルコンネン家という家柄があって、希少な香料を産出する砂の惑星「デューン」の統治を目ざして抗争する。遠い未来を描いているはずなのに、家柄・血筋・香料をめぐる利権争い。決闘..となにやら中世社会のようだ。
8000年たっても人類は進化していないのかも。

**********************

『リコリス・ピザ』は日本での公開は7月だそうです。

以上、ノミネート10作品のうち6作品を映画館で3作品を配信で見ました。
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