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萩谷功枝

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英雄の証明

英雄の証明

2021年のイラン映画。日本での公開は2022年4月。
監督・脚本・制作:アスガ―・ファルハディ

*********

一億円の入ったバッグを拾ったらどうするか?
おそらく日本ならほとんどの人が警察に届けるだろうと思う。
しかし、拾った人が借金に苦しんでいたら?
返済に追い立てられている状況にあったのなら、そうとも限らないな、とは思う。

この作品の主人公ラヒムは、借金の返済ができず、債権者から訴えられて、刑務所に収監されていた。
イランでは、多額のお金を借りるときには保証人が必要で、債務者が返済できなくなったら保証人が代わりに返済を行う。最終的には債務者は保証人に返済金の全額と利息を支払はなければならないのだが、それができない場合、保証人は債務者を法廷で訴えることができ、裁判の結果により、債務者は刑務所で服役することになる。
借金で収監されたような軽犯罪の囚人には「休暇」が取得できる制度があり、服役期間中でも、数日間、刑務所を出ることができる。

休暇中に婚約者に会ったラヒムは、彼女から金貨17枚の入ったバッグを拾ったと告げられる。借金を返済すれば、刑務所から出ることができる。
ラヒムはどうするか?

その後のラヒムは、本人が思いもよらなかったことに翻弄されていく
「どうすべきか?」は本人が判断することだ。
しかし、世間はそっとしておいてはくれない。
マスコミが押しかける。そして、勝手に称賛し、あっという間におとしめる。
SNSもまた同じ。
今の時代、トラブルが起きて暴力沙汰をおこしてしまい、それを動画に撮られたら完全にアウトだ。

******************

外国映画を見ていると、その土地の景色や暮らし方、その国の法律のことや人々の価値観などを見ることができ、「へえ」と思うことが多々ある。

以下、「へぇ」と思ったこと。
・借金が返せなかったら刑務所に入らなければならないこと。
・「休暇」があること。
・多額の拾得物を警察に届けないで、張り紙で落とし主を探したこと。

・ストーリーと全く関係ないけれど、交通量の激しい道路を信号機のないところで車をよけながら横断するところ。

いちいち日本と比較してみても仕方ないけれど、遠いイランという国の法律や制度の違いを興味深く見た。
そして、マスコミやSNSの反応に翻弄されるのは、日本もイランも同じ。

現代社会の持つ問題は、世界共通のようだ。

*****************
《余計なこと》
1980年に銀座の路上わきで一億円の入った風呂敷包みを見つけ警察に届けたトラック運転手の大貫久男さんという方のことを思い出した。思い出すと気になってしまい、すぐ検索してしまうのも、現代人である私の悪い習慣とは思いつつ、検索したらヒットした。
当時、話題になり、マスコミが殺到し、一時は大貫さんも日常を失ったようである。結局落とし主が現れず、全額の所有権を大貫さんが獲得し、一時所得への所得税を差し引いた6600万円を受け取ったという。大貫さんはすでに他界しているのだが、周りの人の話では、大貫さんはその後も変わることなく、トラック運転手の仕事に復帰し、普通の生活をして生きたという。
なんか、ほっとした。
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