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萩谷功枝

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C'mon C'mon / カモン カモン

カモンカモン


オバマ元大統領のお気に入り映画のリストに入っていた作品。
日本での公開は2022年4月22日。
ずっと見たいと思っていたので、公開直後、早速、見に行ってきた。

よかったです。
9歳の子供に振り回される、独身の中年男性のお話ということで、だいたいの想像はついたけれど、やはり、見てみると、9歳の子供ジェシーの気持ちにハッとさせられます。

ジェシーの側からすれば。
本当はお母さんと過ごしたい。でも、お母さんは、心を病んでしまったお父さんの世話をしなくてはならなくなり、ボクを連れていけない。お母さんが不在の間、伯父さんのジョニーと過ごすことになったけれど、この人は、本当にボクのことを大事に思っているのかな?
面倒くさいと思っているのではないのかな?

独身の中年男性ジョニーの側からすれば。
子供と暮らしたことなどないけれど、この9歳の男の子とうまくやっていけるだろうか?
突然だし、仕事にも影響出るし、困ったな。
でも、妹(ジェシーの母)に母親の介護を押し付けてしまったし、ここは、妹の助けになってやるしかないか。

というような気持ちだったのではないかと思う。

ジェシーの母親のヴィヴの側からいうと、ずっと親の介護をしてきた、そして今度は心を病んでいる夫(別居中の夫なのか、離婚した元夫なのかどちらか)に寄り添わなければならない。心を病んだ相手なので、9歳のジェシーは一緒に連れて行かない方がよい。という状況。
私は女性目線で見てしまうので、まず、ヴィヴの大変さが身につまされた。
家族の世話って大変なのだよ。

*************

この作品は、それぞれの気持ちをとても細やかに描いている。
子供は大人のことを、よく見ている。そして、時々試す。
街を歩いているときに、ジョニーがかかってきた携帯電話での通話に気をとられてしまう。
ふと振り返ると、ジェシーがいない!
あわてるジョニー。
ジェシーは、「ボクのことをちゃんと見ていてよ。」いたかったのだろう。

でも、一緒に暮らしていくうちに、だんだん打ち解けていく二人。

ジョニーはジャーナリストで、アメリカ各地の子供たちにインタビューをする仕事。
子供たちから本音を引き出すのがうまい。
移民であふれるアメリカ社会で暮らす移民の子供たちの主張。
子供たち、いいこと言っている。

1時間48分の白黒映画。
見終わった後、優しい気持ちになれる作品です

*****************

《付記》
ホアキン・フェニックス

主役のジョニーを演じたホアキン・フェニックスは、2019年の『ジョーカー』で、アカデミ賞の主演男優賞を獲得している。『ジョーカー』は救われない映画だなと思う。映画に出てくる主人公の中で、彼ほど悲しい存在はいないのではないかとさえ思う。
笑うべき場面ではないのに緊張すると笑ってしまうジョーカー。
これを演じたホアキン・フェニックスがうますぎる。
笑いたくないのに、笑ってしまって、止めたいのに止められない、という演技。
下手な俳優が演じたら、不自然な作り笑いにしかならない。
あまりに悲惨なストーリーだけれど、見ていられるのは、のちに登場するバットマンと繋がるからだろう。
(『ジョーカー』は2019年の作品で、「バットマン トリロジー(三部作)」よりは、あとで制作された作品で監督も違う。また、「ダークナイト」に登場するジョーカーとは、時代設定からも別の人物ということになるが。)
「ダークナイト」でジョーカーを演じたヒース・レジャーは、不眠症になってしまい、睡眠薬の過剰摂取による急性薬物中毒で急死してしまった。
やはり、ジョーカーは、役者冥利に尽きる役どころかもしれないけれど、演じていてしんどくなるのではないかと思う。
こんなに救われない登場人物はいない。

だから、ホアキン・フェニックスが、『ジョーカー』のあと、心温まる『カモン カモン』に出演してくれて、ほんとよかった。ジョーカーの狂気に満ち眼と、ジョニーの優しいまなざしが同一人物のものとは思えない。
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