S田さんと話していたら、徳島・鳴門の大塚美術館の話題になった。
彼女は行ったことがあり、感想は、「楽しかった。」というものだった。
「本物だと疲れちゃうんですよ。偽物だとわかっていると、軽く、サーと見られて楽しいですよ。」とのこと。
なるほど。
大塚美術館の楽しみ方がわかった気がした。
私はまだ、行ったことがない。
四国は遠いけれど、彼女の話を聞いて行ってみたいと思った。
同時に感じたのは、あぁ、この人は、本物のオーラを感じ取ることのできる人なのだな、ということだった。
絵を見て、なんだかわからない感情がこみあげることがある。
本物には画家の魂が込められているのか、何か不思議なオーラがある。
見た目がまるで同じでも、複製品には、それがない。
実は私は絵を見て泣いたことがある。
京都の智積院襖絵「秋草図」の前で、困ってしまうぐらい、どっと涙があふれてきたのだ。
館内に私一人だったという条件もあったのかもしれない。
受付終了ぎりぎりに入れてもらえて、閉館までずっとひとりで、絵の前にいられた。
勝手に長谷川等伯の気持ちを想像した。
息子を事故で失い(私は狩野派が仕組んだと思っているけれど)、失意の中で、すべてのエネルギーを絵に注いだ。
描かれている草から発せられるモワっとするような“草いきれ”が感じられた。
辛さをすべて絵にぶつけたのかな。
そして、もう1つ。「松林図屏風」
何年か前に開催された「長谷川等伯展」でみた。
こちらは晩年の作品で、人生を達観した絵師の心情が感じられた。
松林に霧がユラユラと立ち込めているようだ。
墨の濃淡だけで、空気が動いているように描けるとは・・。
どちらも、もう、10年以上前のことだけれど、作品を見たときの感動は、今でもよく覚えている。
絵を見て感動するのは気持ちいい。
自分でもなんだかわからない感情がこみあげてきて、涙があふれる。
思いがけない体験であり、結果、心がスッキリするというのがわかった。
絵の価値とは何かと考えたとき、たとえ模写でも複製品でも、見た者が感動することができる作品に価値があるのだ、と思う。。
しかし、絵の価値を金額で表そうとすると、話は変わってくる。
ある画商が名もなき競売会社のカタログから13万円で落札した一枚の絵画が、巡り巡って、なんと、510億円に!!!!
この興味深い出来事を描いたドキュメンタリー映画が
「ダ・ヴィンチは誰に微笑む」
*************************

2017年11月15日、レオナルド・ダ・ヴィンチ作とされる「サルバドール・ムーンディ」が、絵画オークション史上最高額の4億5030万ドル(約510億円)で落札された!
この絵はもともとニューヨークの美術商が1175ドル(約13万円)で落札したものだった。
落札者はいったい誰なのか?
そのことだけでも興味津々、この映画に引き込まれていく。
絵画をめぐり、金が動く。それはもう、芸術の世界からかけ離れた、欲望の渦巻く世界だ。
510億円に行き着く前にもさまざまな金が動いた。
仲介を依頼された美術商が8300万ドルで購入した絵画を、1億2750万ドルで富豪に売却し、差額を着服した。
着服した美術商と、高くかわされた富豪との間に法廷闘争が起きているという。
こうなってくると、欲望の世界だ。
ただ、この絵が本物だと思えるのは、公開されたこの作品を前にした人々が見せた表情が本物だからだ。
絵を見て感動した人の表情にはウソがない。
絵から受けたオーラを感じ取った者だけが見せる表情だと思うのだ。

レオナルド・ディカプリオは広告塔に利用されてしまったけれど、この絵を見たときの彼の表情は、演技でも何でもない、心から湧き出た感情から来たものだと思う。
で、いったい誰が510億円で購入したのか?
ネタバレしないように、いったんここでやめておきます。
2021年公開のドキュメンタリー映画。
今なら、配信で,U-Next、Amazonプライム(約500円)などで見られます。
ネタバレかまわんという方は、続きをどうぞ。
*************
この作品の劇場パンプレットに、絵画高額取引ランキングが載っているのだが、「なんだかなぁ」と思ってしまった。
私の記憶だと、1987年、安田火災海上保険(現損保ジャパン日本興亜)が53億円で落札したゴッホの「ひまわり」が当然、ランキングに入っていると思っていたら、もう、ベスト15にもはいってこない。
「買い主」として名前が挙がっているのは、カタールの王族やら、リボロフレフなる人物。
リボロフレフは上記、「サルバドール・ムーンディ」を1億2750万ドルで買わされ、法廷闘争をおこしている人物。何者かというと、ソ連崩壊時にカリウム鉱山を取得し、その売却益で大富豪になったということである。
ネタバレ!!
「サルバドール・ムーンディ」を510億円で落札したのは、サウジアラビアの皇子だった!!
サウジアラビアとしては、将来、石油が枯渇したときのことを見据えて、観光業が成り立つような美術館をつくり、その目玉となるような作品を持っておきたい、ということらしいが。
あなたなら、510億円あったら、何に使いますか?
考えさせられてしまった。
彼女は行ったことがあり、感想は、「楽しかった。」というものだった。
「本物だと疲れちゃうんですよ。偽物だとわかっていると、軽く、サーと見られて楽しいですよ。」とのこと。
なるほど。
大塚美術館の楽しみ方がわかった気がした。
私はまだ、行ったことがない。
四国は遠いけれど、彼女の話を聞いて行ってみたいと思った。
同時に感じたのは、あぁ、この人は、本物のオーラを感じ取ることのできる人なのだな、ということだった。
絵を見て、なんだかわからない感情がこみあげることがある。
本物には画家の魂が込められているのか、何か不思議なオーラがある。
見た目がまるで同じでも、複製品には、それがない。
実は私は絵を見て泣いたことがある。
京都の智積院襖絵「秋草図」の前で、困ってしまうぐらい、どっと涙があふれてきたのだ。
館内に私一人だったという条件もあったのかもしれない。
受付終了ぎりぎりに入れてもらえて、閉館までずっとひとりで、絵の前にいられた。
勝手に長谷川等伯の気持ちを想像した。
息子を事故で失い(私は狩野派が仕組んだと思っているけれど)、失意の中で、すべてのエネルギーを絵に注いだ。
描かれている草から発せられるモワっとするような“草いきれ”が感じられた。
辛さをすべて絵にぶつけたのかな。
そして、もう1つ。「松林図屏風」
何年か前に開催された「長谷川等伯展」でみた。
こちらは晩年の作品で、人生を達観した絵師の心情が感じられた。
松林に霧がユラユラと立ち込めているようだ。
墨の濃淡だけで、空気が動いているように描けるとは・・。
どちらも、もう、10年以上前のことだけれど、作品を見たときの感動は、今でもよく覚えている。
絵を見て感動するのは気持ちいい。
自分でもなんだかわからない感情がこみあげてきて、涙があふれる。
思いがけない体験であり、結果、心がスッキリするというのがわかった。
絵の価値とは何かと考えたとき、たとえ模写でも複製品でも、見た者が感動することができる作品に価値があるのだ、と思う。。
しかし、絵の価値を金額で表そうとすると、話は変わってくる。
ある画商が名もなき競売会社のカタログから13万円で落札した一枚の絵画が、巡り巡って、なんと、510億円に!!!!
この興味深い出来事を描いたドキュメンタリー映画が
「ダ・ヴィンチは誰に微笑む」
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2017年11月15日、レオナルド・ダ・ヴィンチ作とされる「サルバドール・ムーンディ」が、絵画オークション史上最高額の4億5030万ドル(約510億円)で落札された!
この絵はもともとニューヨークの美術商が1175ドル(約13万円)で落札したものだった。
落札者はいったい誰なのか?
そのことだけでも興味津々、この映画に引き込まれていく。
絵画をめぐり、金が動く。それはもう、芸術の世界からかけ離れた、欲望の渦巻く世界だ。
510億円に行き着く前にもさまざまな金が動いた。
仲介を依頼された美術商が8300万ドルで購入した絵画を、1億2750万ドルで富豪に売却し、差額を着服した。
着服した美術商と、高くかわされた富豪との間に法廷闘争が起きているという。
こうなってくると、欲望の世界だ。
ただ、この絵が本物だと思えるのは、公開されたこの作品を前にした人々が見せた表情が本物だからだ。
絵を見て感動した人の表情にはウソがない。
絵から受けたオーラを感じ取った者だけが見せる表情だと思うのだ。

レオナルド・ディカプリオは広告塔に利用されてしまったけれど、この絵を見たときの彼の表情は、演技でも何でもない、心から湧き出た感情から来たものだと思う。
で、いったい誰が510億円で購入したのか?
ネタバレしないように、いったんここでやめておきます。
2021年公開のドキュメンタリー映画。
今なら、配信で,U-Next、Amazonプライム(約500円)などで見られます。
ネタバレかまわんという方は、続きをどうぞ。
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この作品の劇場パンプレットに、絵画高額取引ランキングが載っているのだが、「なんだかなぁ」と思ってしまった。
私の記憶だと、1987年、安田火災海上保険(現損保ジャパン日本興亜)が53億円で落札したゴッホの「ひまわり」が当然、ランキングに入っていると思っていたら、もう、ベスト15にもはいってこない。
「買い主」として名前が挙がっているのは、カタールの王族やら、リボロフレフなる人物。
リボロフレフは上記、「サルバドール・ムーンディ」を1億2750万ドルで買わされ、法廷闘争をおこしている人物。何者かというと、ソ連崩壊時にカリウム鉱山を取得し、その売却益で大富豪になったということである。
ネタバレ!!
「サルバドール・ムーンディ」を510億円で落札したのは、サウジアラビアの皇子だった!!
サウジアラビアとしては、将来、石油が枯渇したときのことを見据えて、観光業が成り立つような美術館をつくり、その目玉となるような作品を持っておきたい、ということらしいが。
あなたなら、510億円あったら、何に使いますか?
考えさせられてしまった。
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