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萩谷功枝

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ワン・セカンド 永遠の24フレーム

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2020年の中国映画。日本での公開は2022年5月。
監督:チャン・イーモウ
キャスト・チャン・イー(逃亡者)
     リー・ハウツン(リウの娘)
     ファン・ウェイ(ファン電影)

**************

文化大革命中の1969年の中国。
ひとりの男が、映画見たさに収容されていた農業刑務所を脱走して、映画を上映しているという村にやってくる。
しかし、その村での上映はすでに終わっていて、映画フィルムは隣の村に運ばれることになっていた。
男が見たかったのは、本編上映前のニュース映像
彼の娘が映っていると聞いたからだ。
彼は、妻にも離婚され、家族との交流もなくなっていた。

娘の姿が見たい。
この一念で、彼は、砂漠を超えて、隣の村を目指す。

そして・・・・。

***********************

文化大革命の頃の内陸部の村の様子がわかる。
当時の中国の人々にとって、映画は数少ない娯楽だった。
どんなに楽しみだったことだろう。

**************

監督のチャン・イーモウは、2008年の北京オリンピックの開会式・閉会式の総監督を務めたことで、よくその名が知られた人だ。
コン・リーやチャン・ツィーを発掘して、スターにのし上げた。
「初恋のきた道」のチャン・ツィーの可愛らしい美しさは、見るものを魅了した。

そして、今回の「ワン・セカンド」で、またダイヤモンドの原石のような新人リー・ハウツンを発掘した。
かわいい!

ワンセカンド

********

チャン・イーモウのWikipediaを調べたら、文化大革命で“下放”され、農民として3年間、工場労働者として7年間働いた、という経歴が出てきた。

文化大革命中の地方の村の様子は、自らの体験に基づいているのだろう。

*************


ここで、“下放”という言葉か出てきました。
また、男が農業刑務所に入れられた理由として、「造反派”にさからって、けんかになったから」。という説明がありました。

今の若い人は、“下放”や“造反派”という言葉を使われても、何のことだかわかりませんよね。

解説します。
**********************

1958年から毛沢東主導の下で行われた大躍進政策は、1500万人もの餓死者をだす大失敗となり、毛沢東は権力を失った。その後、あとを継いで国家主席となった劉少奇が権力を強めると、毛沢東は権力奪回を目指し、1966年、文化大革命を発動した。
毛沢東は、劉少奇・鄧小平を「実権派」と呼び、資本主義復活をはかるものとして批判し、自らの支持基盤として、学生を中心とする若者たちによる紅衛兵を組織させた。
権限を得た紅衛兵の若者たちは、「造反有理(謀反には道理がある)」のスローガンを連呼し、多くの知識人、技術者らを“下放”の名のもとに、地方の農村や辺境に追いやった

(つまり、”造反派”とは紅衛兵ら、文化大革命を推進する側のこと.
チャン・イーモウ監督は彼らにより10年間”下放”されてたことになります。)

文化大革命は、1976年の周恩来(1月)・毛沢東(9月)の死をもって終焉するが、この間の10年間、社会は混乱し、知識人や有能な技術者を活用することができなかったため、文化大革命の10年間、およびそこから立ち直るための10年間により、中国の近代化は20年遅れたといわれている。



*****************

この作品の時代設定は、1969年、まさに文化大革命の真っただ中。
同時期の日本が高度成長期の発展を続け、一家庭に1台、カラーテレビがあった頃のことである。



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