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萩谷功枝

Author:萩谷功枝
世界史教師をしています。

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『マルモイ ことばあつめ』

マルモイ
 

いい作品です。ラストは涙でした。

1940年代の日本統治下の韓国・京城(現:ソウル)で朝鮮語辞典を作成しようとした人たちの話です。
日本語の使用が強制され、朝鮮語による出版物は次々に廃刊となるなかで、このままでは、朝鮮語が消滅してしまう、言語は民族の命だと、厳しい統制の中で、辞書作りという、膨大な作業量と根気を必要とすることを成し遂げようとした人たちがいました。
登場人物の設定などはフィクションですが、日本の支配に抵抗して、自民族の誇りを保つために命懸けで辞書作成に取り組む姿は、感動的です。

韓国映画のレベルの高さを感じました。
ストーリーの展開が面白く、登場人物のそれぞれが魅力的でした。
脚本が素晴らしい。珠玉のセリフがありました。(大絶賛)。

********************

さて。
ここで問題になってくるのは、日本人として、どのような気持ちでこの作品を見たらよいのか、ということです。

結論を言います。

韓国ドラマ(「愛の不時着」とか)を見るときのように、楽しんでみましょう。
フラットな気持ちで観賞すればよいと思います。
日本の統治時代に、朝鮮語を民族の誇りとして守ろうとした人たちの話なのだから、ストーリー上、日本の統治の酷さは当然描かなくてはなりません。
しかし、この作品には、反日感情を煽ろうとか、韓国の人たちの被害者意識を煽ろうとするような制作側の意図は感じられません。
あくまでも、厳しい弾圧の中で、朝鮮語を護ろうとする人たちの強い意志を描いた作品なのだと思います。

****************

俳優がよかったです。
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ユ・ヘジン
私の好きな韓国映画によく登場する俳優です。
タクシー運転手』の時の光州の運転手。『1987、ある闘いの真実』では民主化推進派との連絡役を担うハン看守。『コンフィデンシャル』では北朝鮮の刑事役のヒョンビンとコンビを組む韓国の刑事役。
今回のパンスも素晴らしい。

読み書きができず、スリをやっていたようなパンスが、朝鮮語辞典を作ろうとする朝鮮語学会のリュ代表チョ先生の熱意に影響され、辞書作成の中で大事な役割を果たすようになります。
文字を覚えようとするパンスの努力している姿を見て嬉しくなりました。

あともうひとり。
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キム・ソニョン
愛の不時着」で北朝鮮の村で班長と呼ばれていた人です。韓国ドラマにちょいちょい脇役で登場しています。
毒舌をはいても憎めない、私の好きなキャラの俳優さんです。
今回は珍しく、朝鮮語学会の中できちんと業務をこなす有能なメンバー役で、目立つようなセリフはなかったのですが、いるだけで好きです。

*****************


前回ブログで、「ドンバス」について書きました。
親ロシア派占拠地域でのウクライナ人市民の生活はひどいものでした。
3つ前のブログでは、「教育と愛国」について書きました。日本の戦時中の朝鮮支配をめぐる教科書の記述について、どうあるべきかという教科書問題を扱った作品でした。

どちらも政治がからみ、論争になりやすいテーマでした。

しかし、この「マルモイ」は、それとは次元が違うように思います。

文字が読めるようになることの喜び(「愛を読む人」、「鎌倉殿の13人」の上総広常の佐藤浩市とか。)、辞書を作成するという膨大な作業に取り組んでいく人(「舟を編む」、「博士と狂人」)、こうしたことをテーマにした作品と共通する、人間の持つ普遍的な価値観がそこに流れていると思うのです。

そして、「マルモイ」は「圧政への抵抗」を描いた作品でもあります。
圧政への抵抗」は人間のもつ当然の権利なのです。
支配されている側が困難に屈せずに抵抗していく姿は、人々に感動を与えます。

そして。
もし、若い方々で、創氏改名とは何のことかわからないという方は是非、調べてみてください。
自国の過去の歴史を知ることは、とても大切なことだと思います。
それが国際協調につながっていくと思います。

*******
2018年の韓国映画。
Amazonプライムで500円でレンタルして見ました。

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