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萩谷功枝

Author:萩谷功枝
世界史教師をしています。

映画や本の紹介、最新のニュースから感じたこと、など自分の日常を通して、世界史のことを考えていけたらと思います。

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騙されないようにしよう。

前回のブログでだまされた話を書いたところ、読んで下さった方から「オレオレ詐欺に引っかからないでね。」といわれた。

すぐに人を信用してしまう無防備なところがあるので、危なっかしく見えるのだろう。
ありがたい忠告として受け入れておきます。

それにしても、どうしてオレオレ詐欺の被害が止まらないのだろう。

理由の一つとして、だまされる側のお年寄りの善良さがあると思う。

『話が長くなるお年寄りには理由がある』 増井幸恵著  PHP新書
という本の導入部に、お年寄りの発想について述べた部分があり、参考になると思ったので紹介する。

それによると、「アンケートの○のつけ方が特徴的」なのだそうだ。
私たちは、アンケートの目的が統計を取るためであることがわかっているから、4段階の選択肢があれば、もっとも近いと思うものを瞬時に(テキトーに)選ぶ。
が、高齢の方は違うのだという。
「1と2の間の空白部分に○をつけたり、2と3の2つに○をつけたり、自由な感覚で解答します。3に大きな○をつけて、そのうえで2と4に小さな○をつける方もいます。本当にいろいろなパターンの回答が出てきます。」

集計する側からしたら、こんなアンケートの答え方は、迷惑でしかない。
しかし、これは、「高齢の方の誠実さ」なのだ。

おそらく、その年代に至るまで、「ウソはいけないことだ」という価値観のもとに過ごしてこられたのだと思う。
ウソをつきなれていないものは、たかだかアンケートでもウソがつけない。
真面目に正直に答える。
選択肢の中にあてはまるものがなかったり、2つ以上該当するものがあると、悩んでしまって、上記のような○のつけ方をするのだろう。

これは、高齢とか老化とか、そういう問題ではなく、たんにアンケート慣れしているか、そうでないかの問題で、高齢者の方が慣れてないことに対して、誠実に向きあっていることの一つの事例だと思う。

慣れてないことをさせられると、人は必死にこなそうとする。
ATMの操作やら、メール便やら、わけのわからないことを要求されると、それを理解するだけで、精いっぱいになってしまい、疑うことを忘れてしまうのだろう。

こういう善良な方たちを騙すなよ、と心から思う。


話は変わるが、日本では忘れ物や落し物が戻ってくる
モンゴル人留学生のB君が、日本に来たばかりのころ、学生証その他が入った大事な財布を落として、途方に暮れた時、「必ず出てくるから、一週間待て」というアドバイスを受けたという。そうしたら、本当に一週間後に警察から電話が入って、財布が戻ってきたと言う。

この話を聞いたとき、私はとてもうれしく思った。

実は、私も、これまでに2度、財布を置き忘れたことがあるが、いずれも戻ってきている。
1度目は、はるか40年前、新宿駅の緑電話のわきにだった。気が付いたとき、まず、出てこないだろうなとあきらめたのだが、なんと、財布の中に入っていた大学の学生課の領収書を頼りに戻ってきた。

ありがたい。

忘れ物が戻ってくる。
それは、「忘れた人が困っているだろうな」と思って届けてくれる人がいるからだ

そうした親切な人がいる。
アンケートにすら正直にウソをつかずに答えようとする人がいる。
これは、守っていかなければいけない文化だと思う。

少なくとも、「人を騙すのは悪いことなのだ」、という価値観を、未来の大人である子供たちに持ってもらえるような社会を維持していく努力はしていきたいと思う。

で、とりあえずは、犯罪抑止策として、「騙されないようにしよう。」と自戒したところである。
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