映画・本、最新のニュースを通して世界史を考えていきましょう。

プロフィール

萩谷功枝

Author:萩谷功枝
世界史教師をしています。

映画や本の紹介、最新のニュースから感じたこと、など自分の日常を通して、世界史のことを考えていけたらと思います。

最新記事

全記事表示リンク

更新通知登録ボタン

更新通知で新しい記事をいち早くお届けします

0 コメント

『ビューティフル・マインド』

2015年5月23日、ノーベル経済学賞受賞者で、映画『ビューティフル・マインド』の主人公であるジョン=ナッシュ氏(86)夫妻が交通事故で死亡した。
このニュースを聞いてから、この映画のことがずっと気になっていたのだが、ようやくwowowで放映したものを録画して見ることができた。

『ビューティフル・マインド』
 2001年のアメリカ映画。アカデミー賞では、作品賞、監督賞、助演女優賞、脚色賞を受賞。主人公のナッシュ博士にラッセル=クロウ。

何をいまさら2001年の映画を、といわれてしまいそうだが、今まで、たいして映画を見てこなかったので、今になって、その埋め合わせをしているところなのです。
で、評価は★★★★★。面白かった。

(14年前の映画とはいえ、この映画については、ネタバレしてしまってはいけないと思うので、あらすじ付きの解説は避けたいと思います。
とはいえ、序盤の、金髪の美女がいるパーティーで、ナッシュがアダム=スミスの理論の否定を思いつく場面が気に入ってしまったので、それについて書いておきたいと思います。)


ナッシュは、金髪の美女をものにしたいと思うが、みんなが彼女を狙ってしまえば、競い合ってしまい、だれも彼女を獲得できず、みんなが不幸になると考える。
ではどうしたらいいのか?

そこから、アダム=スミスの理論の否定を思いつく。

アダム=スミスの自由放任論によれば、「競合社会では、個の野心が公の利益。」
みんなが競い合って豊かになろうとして経済活動を行えば、社会全体が豊かになる。
個々に利益を追い求めても、そこには「神の見えざる手」が働いて、うまくいくのさ、という理論。

しかし、これは、間違いだ!と、ナッシュは気づく。
「最良の結果は、グループ全員が自分の利益を追及すると得られる。」のではない!
「最良の結果は、全員が自分とグループ全体の利益を求めると得られる。」のだ!


経済活動の目的に「グループ全体の利益」という観点を持ってきたところが素晴らしい。

社会全体を良くするにはどうしたらよいか、という発想が根底にあるのだろう。

ジョン=ナッシュ。
ゲーム理論のうち、非協力ゲームの均衡分析の理論化で、ノーベル経済学賞を受賞。
うーん、何のことか、私の理解を越えてしまっていて、簡単な解説を読んでもよくわからなかったけれど、とにかく、すごい人だったのだな。


主演のラッセル=クロウは、この映画の前年の2000年には『グラディエーター』で、謀られてグラディエーター(剣奴)に身を落としてしまったローマの将軍マキシマスを演じた。この時は筋肉ムキムキの英雄。そして翌年のこの映画では、ちょっと猫背気味で、人付き合いが苦手で、天才数学者なのにどこか自信なさげで、弱々しい雰囲気のナッシュを演じている。うまくて感心した。

途中の展開は、予想外。
そしてラスト。

ありきたりの結びになってしまうけれど、ナッシュ博士を支えた妻のアリシアさんの心、およびこの2人の夫婦愛がビューティフルなのだと、当初、うさんくさいタイトルだなと思ったものの、納得。
見終わった後、気分が良かった。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

検索フォーム

QRコード

QR

最新記事

My Small Land
ダ・ヴィンチは誰に微笑む      絵画の価値とは?
ダンケルク
ひまわり
C'mon C'mon / カモン カモン
バットマンにはまってしまった
英雄の証明
親愛なる同志たちへ
オバマ元大統領のオススメの14作品
今年のアカデミー作品賞ノミネート作品を見てみた
ベルファスト
善き人のためのソナタ
ウインター・オブ・ファイアー :   ウクライナ 自由への闘い
赤い闇 スターリンの冷たい台地で
博士と狂人
恋愛映画を見るための感受性
『クレシェンド 音楽の架け橋』
『オペレーション ミンスミート -ナチを欺いた死体-』
『白い牛のバラッド』
『国境の夜想曲』
『ドライブ・マイ・カー』
『ウエストサイドストーリー』
『ルース・エドガー』
『最後の決闘裁判』
『燃えよ剣』
『モーリタニアン/黒塗りの記録』
『MINAMATA』
『アイダよ、何処へ』
『終戦のエンペラー』
『OSLO/オスロ』
『砂漠の鬼将軍』
グッドナイト & グッドラック
ナチ犯罪追及をテーマにした作品5つ
歴史を変えた新聞報道
『The Lady  引き裂かれた愛』
『三島由紀夫 vs 東大全共闘』
『罪の声』
KCIA 南山の部長たち
韓国現代史がわかる作品10選
夫婦で安心して楽しめる作品 :      スポーツもの編
『コリーニ事件』
[脱出モノ」ベストの続き
『1987 ある闘いの真実』
私の中での「脱出モノ」ベスト
『在りし日の歌』
『シカゴ7裁判』
『2人のローマ教皇』
『存在のない子供たち』
『工作 黒金星(ブラック・ビーナスと呼ばれた男)』
『判決、二つの希望』