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萩谷功枝

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『マネー・ショート』

マネーショート
「暇なんだね」と言われそうですが、DVDを借りてきてから、続けて3回見ました。金融用語になじみがなく、よく理解できなかったからなのですが、くだらない作品だったら、続けて3度も見ません。どうしても理解したかったのです。そういう作品です。

これはリーマンショックを題材にした作品です。私の場合、1回目、何の予備知識もなしにいきなり見てしまい、わからないことだらけでした。
そもそも「空売り」という用語すらよくわかっていないというレベルだったので、1回目を見終わった後、この作品についての解説や、リーマンショック、サブプライムローンなどの用語をwikiで調べ、2回目は日本語吹き替え版で見てみました。ようやくストーリーがつかめてきました。
3回目は、ブログを書くために、一時停止ボタンを押しまくりで、静止画面で字幕をメモしながら...。
悪戦苦闘した結果、まあまあ、大筋のところはわかったかなと思っています。

********************************************

2008年9月、大手証券会社リーマン・ブラザーズが破綻し、世界的な経済危機リーマンショックがおこった。主な原因はサブプライムローンという低所得者向けの高金利住宅ローン関連の証券が大暴落したこと。
サブプライムローンは返済能力の低い人でも無審査で借りられた。当時、住宅価格がどんどん上昇している時期だったので、返済できなくなったら住宅を売却してしまえばどうにかなるはずだったからである。さらにローン会社は債券を銀行に売り、銀行は債券を証券化してMBS(モーゲージ債)という金融商品を投資家に売るようになる。また、CDO(債務担保証券)という、サブプライム債券やMBSを混ぜ合わせて切り刻んだ金融商品も売り出すようになる。
ローン会社も銀行も証券会社もサブプライム関連金融商品を売ってもうければよいとしか考えていないし、格付け会社にいたっては、金融商品が売れるように、危ない金融商品であるにも関わらずAAAという最高評価をつけていたわけで、これはもう投資家を騙していたとしか言いようのない事態であった。

『マネー・ショート』は、リーマンショックがおこる2年ほど前から、上記のような状況の中で、いち早く「これはおかしい。」と気づいた人物たちの物語である。

この作品の主人公の一人マイケル・バーリは、無審査ローンのサブプライムローンを信用できないものと考え、MBSもCDOも必ず大暴落すると予測して、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)という新たな金融商品を発明する。これは、保険と同じで、毎月保険料を支払っていくが、MBSやCDOが下落した時に巨額の保険金が受け取れるというもの。マイケルがCDSを発明して銀行にこの話を持っていったとき、銀行側はMBSやCDOが破綻するなどと全く考えていないから、何もしなくても毎月、巨額の保険料が手に入ると考えて、マイケルの提案を受け入れる。この時点では、月々、巨額の保険料の支払いを負担しなければならないマイケルの方が頭がおかしいのではないかとみられていたが...。

途中、「ウォール街は業界用語で人を煙に巻く。」というセリフが出てくる。
MBSやらCDOという金融商品を示されても、一般人にはよくわからない。その中に、債務不履行が発生するであろうサブプライムローンの債券がいっぱい含まれてしたとしても。
これらの金融商品は、リスクを回避するためにつくられたというよりは、リスクを覆い隠して分かりずらくしたものだったのだと思う。


この作品では、マイケルのほかに、マーク・バウム、ジャレド・ベネット、若い2人の投資家に協力するベン・リカードなどの登場人物がいる。出てくる人物が多すぎて、どういう行動に出たのかを理解するのが難しかったが、結局、彼らは、市場崩壊の予兆をつかみ、素早く対応したこと(つまりCDSを買ったこと)で儲けることができる。
(マイケルにいたっては+489%、利益総額26億9000万ドル。)

リーマンショックにより多くの人が職業や家や財産を失ったことを考えると、そんな中で儲けた奴がいると考えると複雑な気持ちにはなるのだけれど、世の中を冷静に見つめる目を持った者が勝ちということか。

マイケルは次なる投資先として「水」に注目しているようだが.....。

『マネー・ショート』
原作はマイケル・ルイスの『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』
2015年のアメリカ映画 
登場人物マネーショートの

キャスト   マイケル・バーリ : クリスチャン・ベール
        マーク・バウム  : スティーヴ・カレル
        ジャレド・ベネット : ライアン・ゴズリング
        ベン・リカード   : ブラッド・ピット 


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