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萩谷功枝

Author:萩谷功枝
世界史教師をしています。

映画や本の紹介、最新のニュースから感じたこと、など自分の日常を通して、世界史のことを考えていけたらと思います。

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大いなる西部

今回もまた申し訳なるくらい古い映画だ。何のことはない、昔の西部劇。
この作品から、「平和」について考える、というのは、あまりにも無茶なこじつけと思われるかもしれないが、ふと感じたことなので、それについて書いてみようと思う。

作品の紹介は後半でするとして、なぜ私がそんなことを考えたのかのきっかけとなった本を、まず紹介したい。

岩波ジュニア新書 「平和をつくった世界の20人」
ガンジー、マザー=テレサ、キング牧師などの有名人から、日本人には少々馴染みのない人物まで、20人の生き方や考え方が紹介されている。

児童書だからとバカにすることなかれ。
児童書の方が、余計なことに制約されず、ことの本質をついていることがある。

20人の中にコスタリカの大統領オスカル=アリアスがいる。
コスタリカという国をご存じだろうか?
中米の小国で、軍隊を廃止した国だ。

アリアスは内戦に勝利した後、軍隊を廃止し、軍事費に回していたお金を道路や鉄道などの産業基盤の整備や、教育・医療の分野に回した。

当然、国防とはそんな甘いものではない、という反論が出るだろう。
海洋進出を強める中国、核開発を続ける北朝鮮を隣国に持つ日本が、のんきなことをい言っていては、領土の保全もままならないし、いつ何時、隣国からの武力の危険にさらされるかもわからない。
国家の三要素は、国民・領土・主権なのだから、それを安全に守るというのが国家の最大の責務だ。

だが、「どうしたら世界は平和になるのかな」ということを純粋に考えたら、アリアスの考えに行きつくと思う。
諸事情でそうはままならないというのが現実なのだが。

夢のような話ではあるけれど、すべての国が軍事力を捨てれば、世界は平和になる。」という考え方は事の本質であると思う。
強い軍事力を持った国が横暴な行動に出るからいけないのだ。
すべての国が軍縮に向かっていかなければいけない。
(もちろんコスタリカも全く丸腰というわけではなく、治安警察隊を含めた警察力という準軍隊に相当するものを持っているのであるが。)

この本に出会ってから、「平和」について考えるようになった。
なぜ紛争が起きるのだろうか?
考えてみると、世界の紛争は資源がらみのことが原因で起きていることに気づく。
尖閣諸島も付近の海域に海底資源があるから中国が割り込んできた。
ロシアが高圧的な態度をとるのも、天然ガスをはじめとする豊富な地下資源を持っているからこそである。

そんなことを思っていた時に、たまたま「大いなる西部」をみた。

これを見た動機は全く違う観点からで、「西部劇」の歴史について調べようと思ったからなのだが、思ってもみなかった方向に自分の思考が進んでしまった。

大いなる西部
1958年のアメリカ映画。
インディアンが全く出てこない西部劇である。
見終わってとても気分がよかった。さわやかだった。
理由はグレゴリー=ペックが演じるジム=マッケイがカッコ良かったからであるが、それは彼の容姿やアクションがカッコ良かったということではない。
むしろこの作品の中で彼は、婚約者パットのテリル家と対立するヘネシー家の息子たちに投げ縄で襲撃されてコケにされたり、荒馬に振り落とされたりと無様な目に合っている。

だが彼は仕返しをしなかった。メンツを重んじて暴力をふるうようなこともしなかった。
荒馬を乗りこなしても、それを引けらすこともしなかった。
テリル家とヘネシー家の対立、その枠の中でしか思考のできない婚約者パットは、そんな彼を理解できず離れていく。

そしてラストで水源地の利権を持つジュリーと結ばれることになったジム=マッケイは、水をみんなが利用できるようにするという。

この考え方こそ、平和につながるものであると思った。

資源は独り占めしてはいけないのだ。

追記:このブログを書くにあたっていろいろ調べていたら、「ナドレック」さんのブログに行きついた。
アクセス数1万を超える人気ブログで、彼はすでに2011年8月に大いなる西部」について書いていた。
そしてその内容にとても共感できた。
彼のブログによれば、ウィリアム=ワイラー監督は、この作品を冷戦下の寓話として意図したという。
そうか、この映画を見て平和について考えてしまった私は、あながち見当違いというわけではなかったのだ。
ブログを始めてからまだ半年にもならない私は「ナドレック」さんの足元にも及ばないが、映画を見て感じたことは同じだと思った。
夫から「自己満足」と腐されてはいるけれど、よーし、めげずに映画を見て考えるという作業は続けていくぞ!

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