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萩谷功枝

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『ハクソー・リッジ』

ハクソー・リッジ

仕事に一段落がつき、休日になったので、映画を見てきました。
見たいと思っていたのは、断崖絶壁を兵士たちが登るシーンが予告編で流れた『ハクソー・リッジ』。
第二次世界大戦中の実話に基づく作品ということですが、あの断崖絶壁はいったいどこなのだ?と気になっていました。

公開したばかりなので、ネタバレしてはいけないと思うのですが、書いてしまいます。
あの断崖絶壁は沖縄の「前田高地」とよばれた日本軍陣地の北側の急峻な崖地でした。
これは自分としてはショックでした。
日本版の予告編でも沖縄を舞台としていることはまったく紹介されていなかったということもあるのですが、「ヨーロッパ戦線のどこかで、こんなすごい地形のところがあったのかな。」などと思っていて、映画を見る前に「あの断崖絶壁が沖縄であること」を全く予想していませんでした。心の中で自分の頭を殴りました。

作品の後半はほとんどが戦闘シーンです。『プライベート・ライアン』における最初の30分のノルマンジー上陸作戦の激しい戦闘シーンに並ぶ、いやそれ以上と評価されているようです。

いつも思うのは、この手の作品、つまり「第二次世界大戦を扱ったアメリカ映画で日本と戦っているもの」を見る時、どのような見方をしたらよいのか、ということです。
主人公のデズモンドが衛生兵として戦場の中で負傷した兵士を一人、もう一人と救出していく姿は感動的で、彼に感情移入して見てしまいます。
しかし、沖縄戦を実際に経験した方々、その遺族の方々にとっては、当然、簡単にそんな感情にはなれない深い思いがあることでしょう。
あの戦いにおいて、デズモンドが属するアメリカ軍は敵であり、多くの沖縄県民が犠牲者となったのです。

ここで私はこの後の文をどう書いたらよいのか苦しんでしまい、書く勢いが止まってしまいます。そして、お決まりの言い方になってしまいますが、戦争映画は敵も味方もない、その悲惨さを心に刻んでみるべきだ、ということに留めます。
(戦闘シーンのラストの部分で、白旗を掲げた日本兵が投げた手榴弾でデズモンドは負傷します。白旗を掲げておきながら武器を使用する日本兵は卑怯だ、ということになるので、そこのシーンだけが納得がいかないのですが。今となってはわからないこと。ただ、作品をつくる上では避けて欲しかった。でも、日本兵はそんな卑怯なことはことしないと思いたいのは私の感情であり、やっぱり、日本人として作品を見ているということになるのかな。)

この作品は、実在した人物デズモンド・T・ドスを描いたもの。実話であるということが何より説得力となるし、作品の最後で、自分の体験について語るデズモンドが登場します。前半の軍法会議、後半の戦闘シーンと大きく二つに分かれるのですが、どちらの部分においても、「銃を持たない」と心に誓った人がどのような形で戦争と関わったのかということを知ることができるストーリーです。


『ハクソー・リッジ』
2016年 アメリカ映画  
監督:メル・ギブソン
出演:アンドリュー・ガーフィールド (デズモンド・T・ドス)
    『アメイジング・スパイダーマン』ですでに有名になっている俳優だそうですが、私としては、『ソーシャル・ネットワーク』でザッカ―バーグの訴訟の相手エドゥアルドであり、『大いなる陰謀』で教授のロバート・レッドフォードに呼び出される学生。  
 

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